シリアの秘密図書館  瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々 書評|デルフィーヌ・ミヌーイ(東京創元社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)
更新日:2019年6月12日 / 新聞掲載日:2019年5月10日(第3287号)

シリアの秘密図書館  

シリアの秘密図書館  瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々
著 者:デルフィーヌ・ミヌーイ
出版社:東京創元社
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昨年10月,内戦下のシリアで拘束されていたジャーナリスト安田純平氏が約3年4か月ぶりに解放された。この報道の直前に読んだのが本書だ。

長年シリアを取材してきた著者はたまたまFacebookで「ダラヤの秘密図書館」とキャプションのついた写真と出会う。写真には本棚に囲まれた部屋でごく普通の青年たちが熱心に読書をする様子が写っていた。しかし,ジャーナリストの著者にとってダラヤは反逆の町であり,包囲された町であり,飢餓の町であった。そのような町で読書をする青年たちの姿に好奇心を刺激され,著者は撮影者アフマドと連絡を取ることに成功する。

2015年ダマスカスから7kmしか離れていないダラヤでは市民がアサド政権に対抗して籠城していた。シリアの反政府軍というとISのような残虐なテロリストを真っ先に思い浮かべるが,彼らは自由を求める普通の市民である。

政府軍の攻撃で地上の建物は破壊し尽くされ,市民は地下で生活している。また,町は包囲され,国連の援助さえも届けられない。死の恐怖と飢餓の中でアフマドを中心とする若者たちは瓦礫の中から本を掘り出し,地下に図書館を作った。極限の状況下で精神の均衡を保つために彼らは地下の図書館で貪るように本を読む。そして自由とデモクラシーを求める気持ちを維持し続けるのだ。

やっとつながるインターネットで著者は丹念に彼らにインタビューし政府軍の残虐な攻撃,それに知で対抗しようとする青年たちの活動を伝える。当初,読書に馴染みのなかった若者たちが図書館を作り,そこから希望を生み出してゆく姿は大変感動的だ。

本書は遠い国の内戦に関心を持ち心を寄せ続けるために,ジャーナリストの果たす役割は大きいと教えてくれる。
この記事の中でご紹介した本
シリアの秘密図書館  瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々/東京創元社
シリアの秘密図書館  瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々
著 者:デルフィーヌ・ミヌーイ
出版社:東京創元社
以下のオンライン書店でご購入できます
「シリアの秘密図書館  瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々」出版社のホームページはこちら
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