『吉田健一ふたたび』冨山房インターナショナル 刊行記念イベントレポート 於:赤坂・双子のライオン堂 登壇=渡邉大輔氏、宮崎智之氏、白石純太郎氏|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年6月18日 / 新聞掲載日:2019年6月14日(第3293号)

『吉田健一ふたたび』冨山房インターナショナル 刊行記念イベントレポート 於:赤坂・双子のライオン堂
登壇=渡邉大輔氏、宮崎智之氏、白石純太郎氏

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批評家、英文学者、翻訳家、文筆家、 〝言葉の最良の意味においてディレッタント〟であり、酒と旅を愛した。文壇の枠におさまりきらない個性的な仕事を遺した文士、吉田健一(一九一二―一九七七)。歿後四〇年を過ぎてなお新しい読者を獲得し続けている吉田健一の評論集『吉田健一ふたたび』(川本直・樫原辰郎編、冨山房インターナショナル、二〇一九年二月)が刊行された。これを記念して四月二〇日、赤坂・双子のライオン堂で刊行記念のトークイベントが開催された。 (編集部)
第1回
■吉田健一歿後の世代

左から、白石純太郎氏、渡邉大輔氏、宮崎智之氏


――本書の多彩な執筆陣の中から当日登壇したのは、批評家・映画史研究者の渡邉大輔氏、フリーライターの宮崎智之氏、ライター・評論家の白石純太郎氏。二〇代の白石氏、三〇代の渡邉氏、宮崎氏、三人とも吉田健一歿後の八〇年代以降の読者である。イベントではそれぞれの吉田健一との出会い、その魅力と作品について、朗読やブックDJ(本の紹介)を交えて語られた。
宮崎 
 吉田の文が、しっくりきはじめたのは二〇代後半くらい。それまで仕事をしてくる中で僕はある程度生活の実感に根ざしたものでないと思考が空転して何も言っていないような文章を書いてしまうことに気づいた。そんなときに吉田を読み直すと尖ったクリエイティブと対極にあると思っていた吉田の文章が逆にクリエイティブだと思うようになってきて、頭で考えるより生活に密着して物事を考えた方が自分の射程が伸びると思った。
渡邉 
 僕は中学生頃から海外小説などを読む中で翻訳者として吉田健一という人がいるなと思っていて、その後吉田健一が政治家吉田茂の息子だと知った。実質的にどういう出会い方をして好きになったかというと、そこには中二病をいかに克服するか問題があって(笑)、一〇代のときから三島由紀夫や小林秀雄のような観念的で抽象的なものにハマっていたのが二〇代前半で一段落して、これから成熟していかなきゃいけないなと考えたときに吉田健一が魅力的に見えた。
白石 
 私は一九九一年生まれの二〇代で、編者の川本直さん曰く吉田読者の第三世代。吉田健一との出会いはポール・ヴァレリーを通じてだった。もともとドイツ文学科でゲーテ、トーマス・マン、ヘルマン・ヘッセ、ハンス・カロッサ、そういうものを読んできたが、自分が抑圧された(と勝手に思っていた)状況の中で、砂漠における水のように文学を求めていた。そこで読んだのが辻邦生で、辻邦生の『背教者ユリアヌス』と北杜夫の『楡家の人びと』、この二つが私の大好きな本の中に入っていて、それに影響を与えたのがトーマス・マンというドイツの作家だった。その作家の研究で大学を卒業したが、それと同時に『精神の政治学』(吉田健一訳、中公文庫)などの著作があるポール・ヴァレリーという作家が好きで、そのヴァレリーの翻訳を通して、もしくはヴァレリーの精神を継承するものとして吉田健一を読み始めた。最初の出会いは、吉田健一の『ヨオロッパの世紀末』(新潮社、一九七三年/岩波文庫)だった。
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