親日台湾の根源を探る 台湾原住民神話と日本人 書評|諏訪 春雄(勉誠出版 )|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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読書人紙面掲載 書評
更新日:2019年6月22日 / 新聞掲載日:2019年6月21日(第3294号)

親日台湾の根源を探る 台湾原住民神話と日本人 書評
民族の記憶―台湾神話と日本人との関係を初めて明らかに

親日台湾の根源を探る 台湾原住民神話と日本人
著 者:諏訪 春雄
出版社:勉誠出版
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なぜ台湾人は親日的な人が多いのか、その根源を探るために書かれたのが本書である。民族文化を研究する著者が、初めて台湾原住民の調査に入ったのは一九九〇年代半ば。以来、接触した原住民は常に深い親愛の情を示してくれ、そのことが強く印象に残ったという。その後、ツォウ族の戦士の祭を調査した折に、彼らの創世神話に日本人が登場してくるのを発見した。ツォウ族ばかりではない。なぜ台湾原住民の神話に、さらに説話に、日本人が登場するのだろうか。しかも同じ神が創造した同胞、兄弟として。

例えばある創世神話では、大昔、天の神が新髙山に降りて人間を造った。人間たちは離散したが、大洪水に遭い、新髙山に戻ってきた。水が引くと、先祖は三つに分かれ、そのうちマーヤ(日本人)は北へ向かった。長い離別の後、マーヤと再会できて懐かしさにたえないとある。ところが漢人やオランダ人は素姓が全く違う。他の神話によると、日本人は同じ楓の木から生まれた兄弟であるが、漢人は別の茄苳の木から生まれた他人、常に敵対し、武器で戦う相手なのだ。オランダ人も敵対者として登場する。なぜなのか。

著者は現地調査を重ね、厖大な文献を読み解いた。その結果わかったことである。古代において日本人と台湾原住民の文化が密接につながっていたというばかりではない。台湾原住民の神話や説話には、日本、清、オランダ各国による統治の歴史が反映していると判断せざるを得なくなったのだという。この時代の歴史認識については難しい問題が存在することを著者も承知の上である。日本の台湾統治は、日清戦争後の一八九五年から敗戦の一九四五年まで、五十年間続いた。その間、武力を伴う抗日運動もあったが、日本は台湾の内地化を目指して、交通・郵便・通信等のインフラ整備、農業改革、環境衛生や医療の改善、重化学工業の推進、教育改革等、多方面で同国の発展に尽力していた。これについては日本側ばかりでなく、台湾側にも多数の証言と証拠資料がある。

つまり清国やオランダは台湾統治時代に、台湾人を抑圧するばかりで、彼らの生活改善に直結する、きめ細かで、行き届いた政策を講じていなかったのだ。日本政府は文字通りそのような政策を実施し、台湾の近代化に成功したわけである。しかしその礎を築いたのは、台湾の国勢と民族の研究に生涯を捧げた民間の研究者たちだった。さらに有能な政治家たちが次々に現地に着任し、近代化推進に懸命に取り組んだ。これら日本人の奮闘努力する姿を多くの台湾人が目にとめ、民族の記憶に深く刻み込んだに違いない。神話とはまさに民族の記憶なのである。本書はこのように、台湾原住民の神話とそこに登場する日本人との関係を初めて詳細に明らかにした。
この記事の中でご紹介した本
親日台湾の根源を探る 台湾原住民神話と日本人/勉誠出版
親日台湾の根源を探る 台湾原住民神話と日本人
著 者:諏訪 春雄
出版社:勉誠出版
以下のオンライン書店でご購入できます
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