橋爪大三郎講演 載録 トランプのアメリカ/宗教で読み解く世界①|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年6月21日 / 新聞掲載日:2019年6月21日(第3294号)

橋爪大三郎講演 載録
トランプのアメリカ/宗教で読み解く世界①

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「トランプのアメリカ」「習近平の中国」と題し、日比谷図書文化館で五月二一日、二八日に二週にわたり行われた、社会学者の橋爪大三郎氏による講座の一部を、本紙でも二週にわたって載録する。第一週目は、なぜトランプ大統領が登場したのかが、アメリカの宗教と現状から繙かれた。(編集部)
第1回
米大統領選二〇一六

橋爪 大三郎氏
「アメリカと中国という、世界を二分する大国の間で、まごまごしているのが日本。このような立場にいる国は、両国の本質を見据えて、進路を考えていかなければなりません。でもその努力が、大変不足している。こうした国々と良好な関係を築くためには、分析と努力が必要です」と語り始めた橋爪氏。
二〇一六年の米大統領選を党大会の状況から振り返り、オバマが二期八年務め、現職の大統領が立候補しない選挙戦に、特に共和党から大勢の立候補者があったこと。本選挙でトランプは、メキシコ国境に壁を作ること、「Make America Great Again」と、この二つしかいっていない。集会は熱を帯びていったが、多くの人が最後にはヒラリーが当選すると考えていた。なぜ泡沫候補だったトランプが、大統領になったのか。当選して、トランプ本人が一番びっくりしているのではないか、などと話した。
では誰がトランプを支持したのか。橋爪氏は大きく四つ挙げた。
まずピッツバーグやデトロイト辺りの「ラストベルト」と呼ばれる、工場が操業できなくなり、労働者は失業し、機械が止まって、赤錆(ラスト)だらけの地域の人びと。
それから中西部の人びと。東部とカリフォルニアは、大学も多く、職もあり、進歩的な地域だが、中央の一番大きな中西部は、「置いて行かれた農村」だと橋爪氏。もともと保守傾向にあり、共和党に投票する地域ではあるが、今回は普段は投票に行かないようなブルーカラー層も、トランプは面白そうだと投票に行ったと話す。
さらにメキシコ移民や不法就労者のあおりを受けて、失業したり低賃金で働かされたりしている白人貧困層。
そして福音派。
現状に困難を感じている人びと、停滞した地域で夢も希望もなく暮らしている人びとが、声に出さずにトランプに投票し、蓋を開ければ僅差で各州の選挙人をとっていく、ということになった。
「昔、哲学者のヘーゲルがいいました。この世界で起こる全ての出来事は合理的だと。当時、ヘーゲルのいたプロイセンは、ナポレオンのフランスに攻められましたが、ヘーゲルは、「時代精神」が馬に乗ってやってきたのだと。馬には乗っていませんがトランプも、「時代精神」なのではないか。トランプのような大統領が生まれるには、何か大きな理由があると考えた方がいいと思います」
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