㒵|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

漢字点心
更新日:2019年6月25日 / 新聞掲載日:2019年6月21日(第3294号)

このエントリーをはてなブックマークに追加
「かお」と訓読みする漢字。山口誓子に、「かりかりと蟷螂(とうろう)蜂の㒵(かお)を食(は)む」という句がある。二〇年以上前、高校の国語教科書の編集部に勤めていたころのこと、当時はパソコンではこの漢字が出せなかったので、先生方にお渡しする教科書の本文データ用に、専用ソフトで一生懸命作字をした思い出がある。

この句が教科書にのるほどの名句たるゆえんの一つは、「㒵」という字の形が蜂の顔を思わせるところ。ただ、当時はどうしてこれで「かお」と読めるのかなど、考えもしなかった。漢和辞典の編集部に移ってから、「容貌」の「貌」に「かお」という訓読みがあり、その右半分の「皃」だけが、独立して略字のように使われることを知って、ようやくつながりが理解できたことだった。

つまり、「㒵」が蜂の顔のようにも見えるのは、偶然でしかない。しかし、偶然からかけがえのない価値を生み出すところにこそ、文学の本領があるのだろう。(えんまんじ・じろう=編集者・ライター)
このエントリーをはてなブックマークに追加
円満字 二郎 氏の関連記事
ok
2019年10月14日
2019年10月6日
ok
2019年10月1日
ok
2019年9月23日
ok
2019年9月16日
ok
2019年9月9日
ok
2019年9月2日
ok
2019年8月26日
すん
漢字点心のその他の記事
漢字点心をもっと見る >
学問・人文 > 言語学関連記事
言語学の関連記事をもっと見る >