翻訳できない世界のことば 書評|エラ・フランシス・サンダース(創元社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)
更新日:2019年6月30日 / 新聞掲載日:2019年6月28日(第3295号)

翻訳できない世界のことば

翻訳できない世界のことば
翻訳者:エラ・フランシス・サンダース
出版社:創元社
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 学校図書館は限られた年齢の子どもたちを対象にサービスを行う図書館。一口に学校図書館と言っても集まってくる生徒が求めるニーズは学校によってさまざまで、収集する本は学校の教育課程の内容により、特徴が変わる。

私の勤務している高校は、普通科と外国語科の2学科がある女子伝統校。女子校ということもあり、生徒たちはかわいい本が大好きだ。

先日、本校外国語科の講演会で、翻訳家の金原瑞人さんのお話を聞く機会があった。印象に残ったのが、「I」という一人称も「You」という二人称も、日本語では100 通り以上の言い表し方があるけれど、日本語の「私」も「僕」も「俺」も全部、英語に訳すと「I」になるという話だった。

この本には翻訳できない世界の言葉が52 載っている。見開き1ページで単語を紹介し、その単語にぴったりのイラストと解説が添えてある。たとえば、ドイツ語の「Drachenfutter」(ドラッヘンフッター)という単語は、直訳すると『龍のえさ』。夫が悪いふるまいを妻に許してもらうためのプレゼントを表す名詞だそうだ。『龍のえさ』という名詞に、そんな深い意味があるなんて!

SNS など情報伝達手段が発達し、世界中の人とのコミュニケーションができるようになった。それでも、言葉の解釈やそこにこめられた感情や要望など、理解のギャップを埋めることは、そう簡単にはできない。この本は言葉を通して人とつながることの意味を考えさせてくれる。

52 の言葉の中には、日本語が四つ入っている。「ボケっと」「ワビサビ」「ツンドク」「木漏れ日」。私は「木漏れ日」の解説が好き。【木々の葉のすきまから射す日の光のことで、まばゆくて目を閉じてしまうほどに美しいもの。緑の葉のあいだをすりぬけた光は、魔法のように心をゆさぶるでしょう。】言葉が響いてくる本だ。
この記事の中でご紹介した本
翻訳できない世界のことば/創元社
翻訳できない世界のことば
翻訳者:エラ・フランシス・サンダース
出版社:創元社
以下のオンライン書店でご購入できます
「翻訳できない世界のことば」出版社のホームページはこちら
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