僕って何 書評|三田 誠広( 河出書房新社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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書評アイドル 渡辺小春が読む芥川賞
更新日:2019年6月28日

自分に必要だったのは何か。「僕って何」なのか。主人公がさ迷いながらも自分自身も見つけていく物語だ

僕って何
著 者:三田 誠広
出版社: 河出書房新社
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僕って何(三田 誠広) 河出書房新社
僕って何
三田 誠広
河出書房新社
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 三田誠広さんの本に出会ったのは、「いちご同盟」だった。それは私が初めて買った青春小説だった。夏休みになると、毎年といっていいほど本屋さんに多く並べてある。気になってはいたが、まだ青春小説は早いかなと小学生の時に思い、中学生になるまでとっておいた。

そして、中学1年生の時に初めて買った青春小説になった。15歳の主人公たちのほろ苦く、切ない様子がまだ13歳の私には随分と大人に見えた。その時に憧れの青春像が出来た思い出がある。

今回は、そんな三田誠広さんが第77回芥川賞を受賞した「僕って何」(初出・「文藝」昭和52年5月号)を選んだ。

上京して憧れの大学に進学することになった主人公。慣れない日々を送る中、大学では学生運動が勃発していた。

自分の意志が無く、運動に興味が無かった主人公だったが、レイ子に誘われB派に入ることになる。やがてB派に仲間が出来、レイ子とも同棲するほどの仲となるが、暴力を振るったり、ボイコットをしたりと、どんどん大きくなる学生運動に巻き込まれ、自分の居場所が見つけられなかった主人公は全共闘の派閥に誘われ、仲間たちを裏切ってB派を抜けてしまう。

しかし、上手くいかず、「僕はここで何をしているんだろう」と思った主人公は、さ迷い、自分が何をしたいのか自問自答しているうちに結局辿り着いたのはレイ子の待つ自宅だった。

自分に必要だったのは何か。題名の通り、「僕って何」なのか。主人公がさ迷いながらも自分自身も見つけていく物語だ。

私の高校生活は、思っていたよりも毎日が忙しい。朝は早くて、帰宅する時間は遅い。でも、中学生の時よりも自由で、授業も詳しい内容になって、そして何より友達に恵まれて、とても楽しい充実した日々を送っている。まさに思い描いていた〝青春〟の日々だ。

その中で、自分の意志が今まで以上に必要とされて驚いた。「文系と理系どっちに行きたいのか」「どうして大学に行きたいのか」「将来は何をしたいのか」…。自分を知るためのワークシートや、職業調べを入学早々に受けた。「そんな先のことなんてまだ考えられない。だって夢だってかなえられるか分からないではないか」と私は思っていたが、1年後には文系理系を選択しなければならないし、それは将来を決める大学受験にも大きく関わる。もう私は将来に向けて自分の事をよく知って考えて進路を決めなければならないのだ。その為には自分の意志をはっきりさせる必要がある。優柔不断な私にその大きな決断ができるのか不安である。

自分について考えれば考えるほど「私って何だろう」「どうしたいんだろう」と思う。結局答えにはたどり着けないまま、この15年間を生きてきた。時代背景は違うものの、悩むことは主人公と同じだ。もしかしたら自分を探すことも青春なのかもしれない。そう思えた作品だった。

渡辺小春
友達と水族館に行って来ました。とても楽しかったです!
この記事の中でご紹介した本
僕って何/ 河出書房新社
僕って何
著 者:三田 誠広
出版社: 河出書房新社
以下のオンライン書店でご購入できます
「僕って何」出版社のホームページはこちら
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