ブレイディみかこ来日インタビュー (聞き手=北條一浩) 一〇〇年後のあなたへ 文子*エミリー*マーガレット一〇〇年前のガールズ・コーリング ブレイディみかこ著『女たちのテロル』(岩波書店)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年7月5日 / 新聞掲載日:2019年7月5日(第3295号)

ブレイディみかこ来日インタビュー (聞き手=北條一浩)
一〇〇年後のあなたへ 文子*エミリー*マーガレット一〇〇年前のガールズ・コーリング
ブレイディみかこ著『女たちのテロル』(岩波書店)

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ブレグジットに揺れるイギリスから令和の日本へ、英国在住の作家・ブレイディみかこ氏が来日した。このたび上梓された『女たちのテロル』(岩波書店)は、一〇〇年前の同時代を生き、闘った三人の女たちの生涯を著者独自の観点から描き出したもの。大正時代のアナキスト、金子文子(一九〇三―二六)を中心に、イギリスの武闘派サフラジェット、エミリー・デイヴィソン(一八七二―一九一三)、アイルランド独立を求めるイースター蜂起のスナイパー、マーガレット・スキニダー(一八九二―一九七一)という三人の女性を描く、著者新境地の評伝である。本書の刊行を機にブレイディみかこ氏にインタビューをお願いした。滞在中はラジオ出演や取材、対談と精力的に活動されていた氏だが、時差を吹き飛ばすブレイディ節を交え、本書に込めた思いが熱量たっぷりに語られた。聞き手はライターの北條一浩氏。(編集部)
第1回
金子文子私自身を生きる

ブレイディみかこ氏
――今回の『女たちのテロル』では、一〇〇年前に生きた三人の女たちの闘いとその生き様を迫力ある筆致で甦らせておられます。三人のヒロインの中でも主軸となる金子文子については以前から関心を持たれていたのでしょうか?
ブレイディ 
 母が瀬戸内寂聴さんのファンで、家に寂聴さんの本がたくさんあったんです。それで中学生のときは、伊藤野枝や岡本かの子の評伝などを片っ端から読んでいました。プレ思春期で、女性として生きるということに興味を持ち始め、ロールモデルを探しているような時期でした。そのときに金子文子の伝記小説『余白の春』も読んだのですが、実はいろいろ読んだ中で印象は一番薄かったんです。でも高校生になって、バンドをやっていたときに読書家の年上の人から、「金子文子は自伝を読まないと何もわからない」と言われて、それで『何が私をかうさせたか 獄中手記』を読んでみたらイメージが全然違いました。文章もうまいし、ものすごく笑えたりする。いろんなことを克明に見ているし、この知性はすごいなと。そこで惚れ込みました。

それからしばらくして金子文子が私の中でリバイバルしたのは、『子どもたちの階級闘争』(みすず書房)に書いた「底辺託児所」に勤めていたときでした。そこではそれこそ虐待されている子どもやいろんな境遇の子どもたちを預かっていて、その子たちは三、四歳で普通の小学校五年生、六年生でも経験しないようなことをリアルタイムで経験していて、複雑な状況が世の中にあることも知っているし、性的にもませている。早熟なゆえに賢くて、体で獲得したインテリジェンスがあるんです。金子文子もそういう境遇で普通の文学少女、思想少女と違う知性がある。これは金子文子みたいな子どもたちだなと思ってリバイバルして、そんなこんなで金子文子は三段階くらい復活してきていました。
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この記事の中でご紹介した本
女たちのテロル/岩波書店
女たちのテロル
著 者:ブレイディみかこ
出版社:岩波書店
以下のオンライン書店でご購入できます
「女たちのテロル」出版社のホームページはこちら
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