応仁の乱 / 呉座 勇一(中央公論新社)地味すぎる大乱 呉座勇一著『応仁の乱』|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2017年1月6日

地味すぎる大乱 呉座勇一著『応仁の乱』

応仁の乱
出版社:中央公論新社
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応仁の乱(呉座 勇一)中央公論新社
応仁の乱
呉座 勇一
中央公論新社
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日本人なら誰でもその名を知っている応仁の乱。室町幕府の権威が失墜し、戦国の世の到来を決定づけたとされる大事件です。

それでいて、大河ドラマなどで繰り返し描かれる関ヶ原の戦いなどと違い、そのイメージは漠然としていないでしょうか。本書はそんな「地味すぎる大乱」にスポットライトを当てた意欲作です。

文化や芸術を愛好した八代将軍・足利義政は無能で無責任な人物だった? 悪妻の日野富子が我が子の義尚かわいさから乱を引き起こした? 一般に流布しているそうした理解は、すでに過去のものとされています。近年、学界では議論が高まっており、そこでの成果が存分に活用されていることは言うまでもありません。

「なぜ戦乱が起こったのかよく分からないし、最終的に誰が勝ったのかもよく分からない」「大規模で長期にわたる戦乱なのに、大名たちが何のために戦ったのか見えてこない」「劇的で華々しいところがまるでなく、ただただ不毛で不条理」(「はじめに」より)という、なんとも奇妙な戦争。複雑きわまりない人間関係(本書の登場人物はなんと三〇〇人!)を解きほぐし、これまでにない明快さと圧倒的な筆力で乱の全貌を描き出しています。

著者は『一揆の原理』、『戦争の日本中世史』(角川財団学芸賞受賞)と話題作を連発し、将来を嘱望される若手研究者。この先、再び中世ブームが巻き起こるとすれば、火付け役となるのはこの人かもしれません。(中公新書編集部)
この記事の中でご紹介した本
応仁の乱/中央公論新社
応仁の乱
著 者:呉座 勇一
出版社:中央公論新社
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2017年1月6日 新聞掲載(第3171号)
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