国のために死ねるか / 伊藤 祐靖(文藝春秋)戦いの真実が伝わる 伊藤祐靖著『国のために死ねるか』|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2017年1月6日

戦いの真実が伝わる
伊藤祐靖著『国のために死ねるか』

国のために死ねるか
出版社:文藝春秋
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安倍内閣は、戦後の歴代内閣が自制してきた集団的自衛権の行使を容認し、駆けつけ警護を可能にしました。憲法改正も、祖父・岸信介以来の「安倍ファミリー」の悲願です。岸も安倍総理も、特攻の悲劇を日本人の美しい物語とし、国のために死ぬことを賛美してきました。しかし、実際に戦場に行くのは政治家ではなく、自衛隊員です。なかでも死傷率が高いのが特殊部隊。彼らは、国のために死ぬことをどう考えているのか。

筆者は、イージス艦「みょうこう」の航海長時代の一九九九年、能登半島沖不審船事件に遭遇しました。自衛隊史上初めての海上警備行動が発令され、不審船の臨検をしなくてはならなくなりましたが、当時の自衛隊には特殊部隊どころか、防弾チョッキすらありません。反撃されたら絶対に死ぬ、という状況に直面したのです。そのとき、著者は、部下を“死地”に送り出す命令を発せざるを得ませんでした。

その体験から、筆者は海上自衛隊の特殊部隊を作り上げ、退官後は、戦いの本当の意味を知るためにミンダナオ島に渡りました。この島は、反政府ゲリラとの戦闘が今でも続く地域です。そこで知り合った女性戦士との交流から、筆者は、国家とは何か、国のために死ぬこととは何かを学び取っていきます。

本書からは、戦士の心、戦いの真実が伝わってきます。右翼でも左翼でもない、“日本人”の死生観がここにあります。 (文春新書編集部)
この記事の中でご紹介した本
国のために死ねるか/文藝春秋
国のために死ねるか
著 者:伊藤 祐靖
出版社:文藝春秋
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年1月6日 新聞掲載(第3171号)
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