プーチン 内政的考察 書評|木村 汎(藤原書店)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)
更新日:2019年7月15日 / 新聞掲載日:2019年7月12日(第3297号)

プーチン〔人間的考察〕 木村汎著

プーチン 内政的考察
出版社:藤原書店
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2016 年は,国際政治においてまさに激変といえる年であった。英国が国民投票でEU 離脱を決め,米国の大統領選挙では過激な発言の数々で有名なトランプ氏が当選した。フィリピンでもドゥテルテ大統領が誕生し,行き過ぎた麻薬取締による人権軽視に批判が集まったことが記憶に新しい。さて,似たようなタイプの政治家が従前より活躍していた国があるのはご存知だろうか。そう,ロシアのプーチン大統領である。彼もまた「テロリストは便所に追い詰めて肥溜めにぶち込んでやる」などと,時に人権を軽視した,あるいは品のない発言が話題となる,強権的とされる人物だ。

「プーチンが大統領に就きさえすれば,ロシアでは万事が一挙に好転するのではないか。このように自分勝手な想像で,有権者たちはプーチンにたいする期待感をふくらませはじめた。」(p.64)

この光景,どこかで見覚えはないだろうか。

本書は,ロシアの政治がプーチン氏個人にかなりの程度依存していることを指摘している。それとともに,彼の力の源泉は何なのか,また民衆のどのような欲求が彼に票を与えているのかを,彼の幼少期の経験まで遡り,緻密に積み上げて検証するものだ。

これが現在のロシアを考えるのに必要不可欠であることは言うまでもないが,それに加えて,私は先に挙げたような「激変」が何故起こったのか,何が人々の望みであったのか,そういうことを考えるうえでも,有益な示唆を与えてくれるものだと考えている。

プーチン氏を通して,政治におけるリーダーシップの役割や,それを制約する環境との関係など,政治理論一般にまで敷衍して説明している。彼のやり方を通して,民主主義というものの課題やそれとどう向き合っていくべきかなど,そこまで考えさせられる力がこの本には秘められている。
この記事の中でご紹介した本
プーチン 内政的考察/藤原書店
プーチン 内政的考察
著 者:木村 汎
出版社:藤原書店
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