荒川幾男 寄稿 話題の思想「構造主義」とは ――われわれにとってそれは何を意味するか 『週刊読書人』1968(昭和43)年3月4日号 1面掲載|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年7月21日 / 新聞掲載日:-0001年11月30日(第715号)

荒川幾男 寄稿
話題の思想「構造主義」とは ――われわれにとってそれは何を意味するか
『週刊読書人』1968(昭和43)年3月4日号 1面掲載

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1968(昭和43)年
3月4日号1面より
フランスを発端に戦後思想界に大きな潮流を起こした構造主義は60年代後半の日本でも大いに注目され、様々な雑誌でもこの新進思想を紐解くべく特集が組まれた。本紙では哲学研究者の荒川幾男氏がミシェル・フーコーを皮切りに、「構造主義とは」を論じた。構造主義についての議論が最も白熱した時代の論考を紹介する。(2019年編集部)

※記事中名前の表記は原文のまま掲載しています。
第1回
イントロダクション

「構造主義」が話題となってから、もうかなりの月日がたつが、昨年末「朝日ジャーナル」が「構造主義とは何か」を特集し、また今月の「中央公論」が同じく「構造主義とは何か」を特集して、ようやくその輪郭が明らかにされてきたようである。それに、弘文堂やみすず書房からも、構造主義についての書物が刊行されようとしている。こうして、構造主義は今年の最大の話題の一つとなることはほぼ間違いないようにみえる。しかし、私たちは過去の事例に徹して、まずこれを単なる思想のニュー・モード追いに終わらせない姿勢を用心深く用意せねばなるまい。「私たちにとって、、、、、、、構造主義とは何か」がつねに問いかえされなければならないと思われる。

ところで、「構造」という言葉は、今日ほとんど濫用といってよいくらい各分野で用いられている。ごく日常的な用法は別としても、物質の構造や有機体の構造から、経済あるいは産業構造、社会構造、さらには思想や論理の構造など、必ずしも定義の一定せぬままに重要な用語として語られている。したがって、構造という概念はきわめて多義的で問題的な概念でありむしろ現代の社会諸科学にとって方法論上の焦点であるといってさしつかえない。structuralismeは、単に構造主義とだけ訳して、そこになにかイデオロギー的主張をもった流派だけを想定しては、「構造主義」そのもののもつ長大な地平をかえって見失うおそれがあろう。ちょうどIdealismが理想主義と訳されると同時に概念論と訳されるように、構造主義はつねに「構造論」と訳して考えるべき問題点と相関的に理解されねばならない。
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