田原総一朗の取材ノート「政治に対する関心の薄さ」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
更新日:2019年7月30日 / 新聞掲載日:2019年7月26日(第3299号)

政治に対する関心の薄さ

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この原稿を書いているのは、七月二一日、参院選挙の投票日の夜である。

今回の投票率は四八・八〇%で、前回より約六%も低い。なぜ、投票率が、これほど低いのか。

一つには、国民の政治に対する関心が薄いのだ。

各テレビ局の番組をみても、どの局も、政治問題を扱う時間がきわめて短かい。なぜ短かいのか、と問うと、政治問題を扱うと、視聴率が取れないのだという。

国民の政治に対する関心が薄いので、視聴率が取れない、というのである。

たとえば、スイスから日本に留学してきて、一時期タレントとして活躍した春香クリスティーンさんが、私に次のようなことをいった。

「スイスでも、フランスでもイギリスでも、学生たちが集まると、必ず政治の話題で盛り上がる。ところが、日本では、学生たちが集まっても、全く政治の話をしない。なぜ、なのですか」
そういえば、日本では、学生たちも、そして社会人たちも、政治の話題で盛り上がるということがない。

一つには、文科省が、日教組対策として、小学校から高校までの教師に、政治について生徒たちに話すことを禁じたからである。だから、学生の中で、政治の話題を持ち出すと、変なヤツと見られるようになったのだ。

だが、何よりの大問題は、自民党の政治家も野党の政治家たちも、この国が、いかなる国であるべきか、ということを全く考えていないのである。

戦後、日本の政治の世界では、日本の主体性ということが、全く考えられて来なかった。

戦争を知っている政治家たちは、アメリカが日本に憲法を押しつけた。そして、こんな憲法下では、まともな軍事力は持てない。だから日本の安全保障の責任を持て、とアメリカに押しつけ、憲法を逆手に取って、アメリカの戦争にまき込まれないようにしてきた。だから、対米従属で、主体性を持つことは、与野党とも考えていない。そして、経済政策も、与野党ともに、いわゆるバラマキ政策で、この点でも違いはない。

だから、与野党が大論議をすることはなく、そのために、テレビで政治を扱うと、視聴率が下がるわけだ。

この国を、どういう国にするべきか。憲法改正を主張する安倍晋三首相は、そのことを本気で考えているのだろうか。(たはら・そういちろう=ドキュメンタリー作家)
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