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現代短歌むしめがね
更新日:2019年7月23日 / 新聞掲載日:2019年7月19日(第3298号)

下手になる修行。どこまで下手になれば上手な絵になる?

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アトリエにて、左から岩本太一さん、今井智己さん、塚田美紀さん、筆者
(撮影・徳永明美)

2019.7.8
 浜松の従業員400人の和菓子屋「春華堂」が出す新商品を企画。自分が食べたい和菓子を提案。

台湾から3冊目の単行本が出版される。その新刊は『横尾忠則×九位經典創作者的生命對話』。

ここんとこ、左右の親指が痛く、絵と文は休業中。伊香保の温泉、華の湯を風呂に入れたり、洗面器で指を温める。医者もわからない原因不明の病い。「描き過ぎ、書き過ぎ」が定番の診断。「違う!」と自己診断。
2019.7.9
 〈カルティエノ、エルベサント、ホテルデ、オ茶ヲ飲ンデイル。トイレニ行クガ、洗面器ト便器ノ区別ガワカラナイ。マア、ナントカ用ヲタス。エルベサンガ、日本ノインテリアデザイナーノスタジオヘ。一緒ニツイテイク。エルベサント別レテ、サテ、ドーシタライイノカ、ワカラナイ。タクシーハ、姿サンニ、拾ッテモラウノガ一番ト、イワレルガ、ソノ姿サンガ、ドコニモイナイ。第一、ホテル名モ忘レタ〉。どうして外国で途方に暮れる夢ばかりを見るのだろう。正に夢地獄である。

クロムハーツでシルクスクリーンの作品の依頼を受けているが、刷り師の伊丹裕さんが新技術の資料を持ってやってくる。シルクスクリーンもデジタル時代らしい。早速試してみよう。

箱根彫刻の森美術館の永井さんと与田さんが8月1日のリニューアルされたピカソ館で、高階秀爾先生との対談の打合せに。前日に入って温泉ホテルで一泊されたしとの希望。

一旦、諦めていた書評、ベッドに入るなり、アイデアが浮かび、そのまま一気呵成に書いてしまう。諦めることで進展することがあるという法則があるのかも。
2019.7.10
 一日が一年で一番長くなる夏至を楽しみにしていたら、夏至の頃から急に悪天候が続き、終日鬱陶しい日が続く。まるで冬至になったように一日中暗い。

手の親指の痛み全然取れない。

『TOKYO VOICE』誌のインタビュー。何だかテーマがあったけれど、どんどん違う話ばかりしてしまった。それにしても、最近のお土産は、どら焼き責めで、売るほど沢山あります。
2019.7.11
 あの無口のおでんが人の顔を見る度にニャン、ニャンと鳴く。どうも病気のようだ。徳永に動物病院に連れて行ってもらう。結果は胆石とか。

テレビ東京の「新美の巨人たち」の出演以来に、プロデューサーの深堀鋭さんとディレクターの二瓶剛さんが来訪。神戸で次期開催の「自我自損」展を取材希望。

夜、おでんがぼくのベッドに大量放尿。
2019.7.12
 延々雨続き。夏至の楽しみ台なし。

『豊島横尾館ガイド』(河出書房新社)の延期になっていた打上げ会を、塚田美紀さん、今井智己さん、岩本太一さんらと、アトリエで椿のとんかつを食べながら祝杯、といってもアルコール抜き。

先日の読売新聞広告賞の授賞式を欠席したのでトロフィーが届く。「いだてん」のポスターが「凄い新人」の出現と大いに話題になったそーだ。ウワッハッハッハ。実に愉快なり。

来年は個展がないと思っていたが、個展が入り、その次の年(つまりオリンピックの翌年)も美術館での個展。これで打止めだろうと思っていたら、その次の年、つまり2022年にも美術館。この年86歳になる。個展のオファーが入る度に、その年まで延命を約束された気になる。といって、あんまり先(せいぜい3年)までのオファーが来ると逆にストレスになる。ほどほど、中庸がいい。

おでん、食欲はないがおやつのチュルチュルには食欲示す。疲れた様子は蚤取り薬を首に塗られているせいだ。

今日も終日陽もなく、暗い。一年で一番愉しみにしている時期を一体誰に怨みをぶっつければいいの。
2019.7.13
 終日、無為、無為、無為、無為。

おでん、具合悪く。ベッドから離れない。
2019.7.14
 雨。怨みの雨。

絵はだんだん下手になっていく。どこまで下手になれば、上手な絵に変わるのだろう。まだ下手になる修行は続く。

夏至の楽しみがないのでマッサージへ。(よこお・ただのり=美術家)
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