盤上のフロンティア 若島正詰将棋新作品集 書評|若島 正(河出書房新社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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読書人紙面掲載 書評
更新日:2019年7月27日 / 新聞掲載日:2019年7月26日(第3299号)

盤上のフロンティア 若島正詰将棋新作品集 書評
詰将棋作家の第一人者によるプロ棋士をも唸らせる問題

盤上のフロンティア 若島正詰将棋新作品集
著 者:若島 正
出版社:河出書房新社
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 近年、藤井聡太七段の活躍により将棋が大変注目されており、しかも詰将棋に対する関心も芽生え始めています。将棋の対局は序盤・中盤・終盤から成り立っていて、勝敗の行方を決するのは終盤で、いかに相手の玉をより早く詰ますかに掛かっています。そのための訓練として詰将棋が最適だと言われており、その意味でも、この度、刊行された〝詰将棋〟の本はタイムリーで、注目に値するものと言えるでしょう。

著者は若島正氏で、詰将棋の世界では知らぬ者などいない、詰将棋作家の第一人者ですが、実は英文学者で、京都大学の名誉教授という意外な経歴の持ち主でもあります。氏は、若い頃の藤井聡太君を一躍有名にした、詰将棋日本一を競う〝詰将棋解答選手権〟なる大会を創始した方で、本人も出題者から解答者に回った年もあり、ある年には並みいるプロ棋士を差し置いて日本一に輝いているほどです。

私は将棋ファンではありますが、詰将棋には弱く、九手詰めくらいの詰将棋を解くのがやっとですが、この度本書を入手しましたので、私なりに取り組んでみました。ところが、悲しいかな、最初の短手数の問題しか解けません。それもそのはず、中篇あたりになるとプロ棋士をも唸らせる問題が目白押しなのですから。

本書には五手詰めの短篇から六〇手前後の中篇に至るまで一〇〇問が収録されており、五手詰めの作品からして並みの詰将棋とは一味違います。意外と気を遣う双玉(ふつうの詰将棋と違って、自分の玉も盤上にあり、ひたすら相手の玉だけを攻め続けているうちに、いつの間にか自分の玉に逆に王手が掛かってしまう)の問題、なかなか気付かない捨て駒(盤上にある邪魔駒を捨てて詰めやすくする)の妙、ついつい誘導されてしまいがちな打歩詰(歩を打って玉を詰ます禁じ手)の回避、盲点になりやすい合駒(玉と遠くに睨みの利く飛、角、香などの駒の間に置いて王手の利きを遮断する駒)の妙と限定打(間に置く駒が一つに限定される)のおもしろみ等々、様々なテーマが盛り込まれており、詰将棋ファンにとって堪らない若島ワールドが展開されています。敢えて言わせていただければ、正解に至る途中図をふんだんに入れていただきたかったということです。そうすれば私程度の棋力であっても外出先で、電車の中で、気楽に読める本になっていたと思います。

本書には若島氏の作品だけでなく、江戸時代の伊藤看寿、その他の現代作家による名作も随所に紹介され、従来の詰将棋ファンのみならず、詰将棋作家を目指す人たちをも満足させる充実した内容になっています。
この記事の中でご紹介した本
盤上のフロンティア 若島正詰将棋新作品集/河出書房新社
盤上のフロンティア 若島正詰将棋新作品集
著 者:若島 正
出版社:河出書房新社
以下のオンライン書店でご購入できます
「盤上のフロンティア 若島正詰将棋新作品集」出版社のホームページはこちら
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