梅原 猛 寄稿 [三島由紀夫氏への公開状] 死せる“神の思想”の復活 ――「対話・日本人論」にひそむ誤謬 『週刊読書人』1966(昭和41)年12月5日号 1面掲載|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年8月4日 / 新聞掲載日:-0001年11月30日(第653号)

梅原 猛 寄稿 [三島由紀夫氏への公開状]
死せる“神の思想”の復活 ――「対話・日本人論」にひそむ誤謬
『週刊読書人』1966(昭和41)年12月5日号 1面掲載

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第9回
いざ、素晴らしいスポーツを

西欧文明は現在大きなカベにぶつかっていると思うのです。その物質重視の思想とその攻撃的侵略思想、この二つの思想は、もはや癒やしがたい病として西欧文明の中核をむしばんでいるように思うのです。この病める文明を、もう一度健康な文明に帰すこと、そこに私は東洋文明の治療的役割があると思います。東洋文明のもつ深い精神性と平和精神を新しい人類の未来に生かす。そういう道がどういう道であるかを考えるのに、此頃の私は一刻も惜しいようにさえ思うのです。こういう私が、あなたのヒステリックなトインビー解釈に同感出来ないのはもちろんです。

私はあなたを反動といって片づけるつもりはないのですが、一度精算されたはずの化物が、あなたという真理への意志を欠如した小児病的美的ロマン主義者によって復活してくるのを見るとき、私の知性はやはり黙ってはいられぬのです。化物と化物の司祭者たちよ、人類の平和と幸福のために、消えてなくなれといいたくなるのは当然です。

三島さん。ずい分ひどいことを私はノーベル賞候補者に向っていったようです。それにあなたを怒らして、一度、私との間の真に男性的な論戦に引きこもうとする私の狡智が働いているのかもしれません。マスターベーション的なボディビルや、あなたの仲間を集めてぐちをいったりするはなはだ女性的な行動を止めて、私を相手に堂々たる男性的な理論の戦いをしませんか。どうやら私は多くのすきをつくったようです。どこからでもうちこんで下さい。いつでもお相手します。おかしくて相手になれるかといってあなたが売られたけんかを避けようとされるとき、私ばかりか、すべての人は、あなたの負と判定すると存じます。私はあなたがもっとも男性的なスポーツである論争の愛好者であることを知りますし、私も法敵への論争を菩薩行の必須の手段と考えているものです。お互に卑怯未練はもっとも恥ずべき悪徳であるはずです。いざ、すばらしいスポーツを始めようではありませんか。(うめはら・たけし氏=立命館大学助教授・哲学専攻)
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