【横尾 忠則】顔を見るたびおでん放尿。ぼくは便器?デュシャンではあるまいに。|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2019年8月12日 / 新聞掲載日:2019年8月9日(第3301号)

顔を見るたびおでん放尿。ぼくは便器?デュシャンではあるまいに。

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2019.7.29
 指が途中から、右に寄ったり、左にひん曲ったりして変形しているのに気づいたのは、春頃だった。以前から痛みはあったが、一過性の症状だと思っていた。

『週刊文春』からYMOに参加する予定をなぜドタキャンしたのかという取材。

夏至が終った途端、陽が落ちて暗くなるのが早い。もう冬至が始まった感じだ。

甘い物を控えるだけで1キロ以上体重が落ちる。
2019.7.30
 手の指の痛みが激しいので、手の整形外科の専門医を東京医療センターに訪ねる。指のレントゲン撮影中に気分が悪くなって、倒れる。指の撮影のストレスによる自律神経失調症と、同時に熱中症を併発したらしい。先生が沢山集まって向こうもこちらもパニック。失神寸前の状態を調べるために心電図を撮るが、心臓には問題がない。腎臓が少々悪いが、糖尿の心配もさほどないと、安心材料に、気分快復。院内レストランでポークジンジャーを食べる。

夕方、スカイ・ザ・バスハウスの白石さん、梅本さんが個展の報告に。「とにかく、人が沢山入りました」そうだ。
彫刻の森美術館にて高階秀爾さんと(撮影・徳永明美)

2019.7.31
 〈パリノホテルニ『週刊朝日』デ間モナク始マル瀬戸内サントノ往復書簡ノ原稿ガ届ク。手紙ノ内容ハ、阿部定論バカリデ返事ノシヨーガナイト思ウ〉夢。

小田急ロマンスカーで妻、徳永同行、湯本へ。迎えの彫刻の森美術館の永井さん与田さんと宮ノ下の富士屋ホテル(菊華荘)の名物カレーの昼食。美術館で高階秀爾夫妻と合流。明日の高階先生とのクロストークのためにピカソ館の下見に。高階先生とは別行動で、われわれは箱根神社に参拝。以前は気にならなかった長い階段にはさすがに登れず、手前の社務所で七福神のおみくじを引く。過去2回とも小さい金剛仏の寿老神だったが、今回もまた寿老神。この神は延命長寿の神。数年間に3度も続くとは、わが守護神?

箱根ガラスの森美術館に、45年前にベニスのエジディオ・コスタンティーニのガラス工房から委嘱されて制作した世界の50人ばかりの彫刻作品が展示。ピカソ、エルンスト、シャガールらも参加している。自作の完成作品を見るのは初めてだが、完成度の高さには満足。ぼくにとってはサプライズだった。ぼくの他に日本作家は三木富雄と成田克彦の3人。

夜は宿泊のハイアットリージェンシー箱根で高階夫妻と和食。
2019.8.1
 〈黒澤明サント成城ノ町ヲ散歩シナガラ、面白イ映画ノビデオガアルカラ見テ下サイト、黒澤サンノ家ヘ。(実際ノ黒澤サンノ家トハ違ッタ)2階ニ上ッタ黒澤サンハ階段ノ上カラビデオヲ投ゲテクレタ〉

朝食のあと、温泉風呂に入る。プールのように広い。しっかり両手を温める。

鎌倉から酒井忠康さんが来られる。ベラスケスの「ラス・メニーナス」とマネの「草上の昼食」を剽窃したピカソの創造行為がトークのテーマ。この2点を剽窃したぼくの作品も、対比して2人で語る。

40年振りで田窪恭治さんに会う。

皆んなバラバラに帰る。小田原まで送ってもらって、乗りつぎ電車で帰る。

帰宅するなり、安心したのか興奮のあまり、おでんが、目の前でジャー。
2019.8.2
 〈何処カノ版画工房ノオーナーノオバサント喧嘩シテ自作ノ版画ヲ破ル〉夢。

終日アトリエ。手が痛いので開店休業なり。無為の一日。帰宅と同時に2日続けて、おでんジャー。「あなたの顔をみるとする」と妻は言うが、顔が便器に見えるらしい。デュシャンではあるまいに。
2019.8.3
 猫は飼主が不在のあと帰ってくると安心して放尿するらしい。また恐怖心を与えると威嚇してすることも。今日も無為の一日。
2019.8.4
 あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」が中止。ぼくの作品も2件取り上げられている。対象を批判するつもりで描いてはいないのに、裏目読みして、拒絶された作品だ。芸術は本質的に恐怖的資質を内在させているのだ。(よこお・ただのり=美術家)
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