古谷田奈月インタビュー それをいつ受け入れたのか? 古谷田奈月著『神前酔狂宴』(河出書房新社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年8月16日 / 新聞掲載日:2019年8月16日(第3302号)

古谷田奈月インタビュー
それをいつ受け入れたのか?
古谷田奈月著『神前酔狂宴』(河出書房新社)

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第5回
「おれの新婦」


――物語の終盤では、高堂会館に風変わりな結婚式を望む式場見学者が訪れます。彼女が現れたことによって物語が急展開するわけですが、作中では明かされずとも彼女には誓う相手がいて、彼女の結婚相手は空虚ではない。対する浜野は、自分は紙とペンだけあれば良くて、「空白がおれの連れ合いだ」と言っています。
古谷田 
 彼の空虚さの表れのようでもありますが、浜野は創作者、つまり何もないところにモノを作る人間なので、空白がもっとも豊かな場所に感じられるのは自然なことかなと思います。そういう彼らしさ、浜野らしさというのを今作では一番大切にしました。絶望を希望みたいに扱う、虚しければ虚しいほど明るくなる人。浜野のユーモア感覚というのは、今の時代においてはサバイバル術として有効だと思います。私もずいぶん助けられたし、浜野が浜野でいてくれたおかげで最高に楽しい執筆期間でした。

――全体の勢いとしてはエンターテインメントとして楽しく読めてしまうのですが、その一つひとつを見ていくと、近代日本の宿痾、天皇制や結婚制度、家族の歪みだけでなく、震災、非正規雇用といった社会問題など気づくことがたくさんあります。走っていて目に入ってくる風景の一つひとつが、実はすごく重要な問いかけになっていると思いました。
古谷田 
 いかにも批評然とならないようにというのは意識したところです。ただ、いろんな社会問題をかき集めて小説内にまとめたということはしていません。神社の婚礼会館という職場とそこで働く主人公について書いていたら、自然にそういったものが出てきた。一人の人間を見つめていると、おのずと社会が映し出されるものなんだと思います。
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この記事の中でご紹介した本
神前酔狂宴/河出書房新社
神前酔狂宴
著 者:古谷田 奈月
出版社:河出書房新社
以下のオンライン書店でご購入できます
無限の玄/風下の朱/筑摩書房
無限の玄/風下の朱
著 者:古谷田 奈月
出版社:筑摩書房
以下のオンライン書店でご購入できます
リリース/光文社
リリース
著 者:古谷田 奈月
出版社:光文社
以下のオンライン書店でご購入できます
「リリース」出版社のホームページはこちら
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