【横尾 忠則】飽きの中に光る美学、ヘロヘロ形而上絵画がなかなかいいのだ。|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2019年8月26日 / 新聞掲載日:2019年8月23日(第3303号)

飽きの中に光る美学、ヘロヘロ形而上絵画がなかなかいいのだ。

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2019.8.12
 山の日。この間は海の日。自然界によって生かされているんだから、感謝のために、空の日、土の日、花の日、虫の日、魚の日、ミミズの日、全部休日にして欲しい。
2019.8.13
 〈外国ノ空港デパスポート紛失!〉海外旅行パニック夢。

酒井忠康さんからカスヤの森現代美術館『イボス』誌に「相聞往来」と題して柴田錬三郎さんにまつわる次々起こる偶然のエピソードの中に柴錬さんとぼくのからみもあって、「うまいエッセイだなあ」と思わせる。
2019.8.14
 〈ニューヨークノ空港ニ着イタ途端、アメリカ人ノ若者ガ「NYノサポートマカシテ下サイ」ト言ウ。「ジャ、オノ・ヨーコサント連絡トッテ下サイ」ト言ウト、場面変ッテ、セントラルパークヲ見下スヒルトンホテルカラ、ヨーコサンノダコタハウスト対面ノビルカラ、ヨーコサンガ手ヲ振ル〉という夢。NYの夢は懐しい。覚醒のあともボンヤリした頭で、このまま2、3ヶ月滞在してやろう、なんて本気で考えている私。

本日から気分は夏休み。その第一日目に国立東京医療センターの眼科の野田先生に眼鏡の処方箋を作ってもらう。昼は耳鼻科の角田先生に食堂でトンカツのご馳走を。
2019.8.15
 74年前の今日、近所の隣保長の家で玉音放送を聴いたそんな風景をまるで昨日のようにはっきり憶えている。小学二年生だった。

朝、庭に出ると蝉がジージー鳴いていた。昨夜の野良猫のエサは完食。

終日、雨降ったり止んだり、降ったり。
※写真右に記事を回り込ませる
2019.8.16
 ファッションデザイナーの滝沢直己さんが、夏休みで時間が空いた、と遊びに。彼は今なぜか、インドがマイブームらしく、ぼくがインド人画家と40年ほど前にアーメダバッドでコラボした作品に加筆して新作を仕上げたが、その作品にエライ興味を持つ。インドと並行して、弁財天や天台密教にも強く惹かれると話す。

彼は上皇と皇后、秋篠宮殿下、悠仁さんのブータン行きのブレザーもデザインしている。滝沢さんを通して、皇室の生活の一部を垣間見ることができる。
2019.8.17
 相変らず手が痛い。絵を描くのが面倒臭いので、こんな時は、ひとの画集を見て描いた気分になる。眼で創作しているのである。手が痛い、耳が遠い、眼が霞むのは、きっと絵を描くのに飽きてきているからだと思う。絵を描かない絵描きというのもアリだと思う。毎日、米つきバッタみたいに描けばいいというものでもない。キリコも晩年、描くのに飽きたと言って、ヘロヘロした絵になっていくが、このヘロヘロ形而上絵画がなかなかいいのだ。森鷗外も、いかにも飽きたのか、医学書をそのまま写したような小説を書いたり、谷崎潤一郎さんも、おかしな小説を書いている。皆んな老齢になって書くのに飽きてきたんだ。その飽きの中に光る美学がまたいいのだ。やる気のない絵が自然体に描ければ最高だと思う。絵を職業から趣味に変えればいいのである。といって職人になることではない。切手蒐集家の気分で絵を描けばいいのである。こーいう態度が画家の長寿につながるのである。画家や作家には少年派と大人派の二種類がある。ぼくはやはり少年派だ。黒澤明、フェリーニ、三島さんも少年派、小津安二郎は大人派、デュシャンはその二派を合体。
2019.8.18
 ガーッとノンレム睡眠を3時間ほど取って、そのあと1時間ちょっと起きて、聴こえないテレビを観て、二度寝、計6時間睡眠。睡眠薬は飲まなくなって久しい。夢はレム睡眠時に見るらしい。昔の夢は超自然夢で、宇宙人、UFO、神仏、終末的な物語色の濃い夢が多かったけれど、最近の夢は全く評価に値しない。(よこお・ただのり=美術家)
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