日本の手仕事をつなぐ旅 いろいろ1 書評|久野 恵一(グラフィック社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年8月21日 / 新聞掲載日:2019年8月16日(第3302号)

日本の手仕事をつなぐ旅〈 うつわ①〉 久野恵一と民藝の45 年
手塚美希 紫波町図書館(岩手県)

日本の手仕事をつなぐ旅 いろいろ1
著 者:久野 恵一
出版社:グラフィック社
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「民藝」や創始者である柳宗悦の名は知っていても,久野恵一や手仕事フォーラムの活動を知る人はそう多くないだろう。本書は,著者の没後に刊行された『日本の手仕事をつなぐ旅』シリーズの1巻だ。

学生時代,宮本常一の民俗調査の旅に同行,民藝と出合い,柳宗悦に直接師事した鈴木繁男らの教えを受け,日本民藝館で実践を積む。やがて日本民藝協会役員の地位を捨て,思いを共にする仲間と手仕事文化の継承をめざし「手仕事フォーラム」を設立。1年の大半を日本各地の作り手の指導,手仕事普及のため,車で奔走し続けた。

本巻は,沖縄,鹿児島,熊本,福岡,大分の五つのやきものの産地のつくり手と,新作民藝品づくりのエピソードが中心となっている。

継ぐ者がなく手仕事が次々と消えゆく今,各地域でどのような背景で道具が生まれ,現在どんな人が作っているのか,見るべき点はどこか,名伯楽であった著者のアドバイスでどのように器が変化したか,写真付きで紹介する。

ほぼ著者が執筆・監修を行った『残したい日本の手仕事』(枻出版社 2016),『民藝の教科書』シリーズ(グラフィック社 2014),からも,本書同様,柳の精神を受け継いだ手仕事の数々を知ることができる。著者は「現代の目利き」として唯一無二の存在であったが,こうした出版物から学ぶことができるのは幸せだ。

優れた手仕事とは,作家性を追求するものでも,芸術品として愛でられるものでもなく,道具として暮らしの中で使われ,毎日を豊かな気持ちで満たすものだと本書は教えてくれる。同時に,使い手である私たちに良いものを見る目が備わり,買い支えることで初めて残っていくものなのだということも。「素晴らしい手仕事の国」を引き継ぐのは私たちなのだ。
この記事の中でご紹介した本
日本の手仕事をつなぐ旅 いろいろ1/グラフィック社
日本の手仕事をつなぐ旅 いろいろ1
著 者:久野 恵一
出版社:グラフィック社
以下のオンライン書店でご購入できます
「日本の手仕事をつなぐ旅 いろいろ1」出版社のホームページはこちら
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