田原総一朗の取材ノート「断絶状態の日韓関係」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
更新日:2019年9月9日 / 新聞掲載日:2019年9月6日(第3305号)

断絶状態の日韓関係

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日韓関係が、いわば断絶状態になっている。

こんな状態になったことを、日本国民の多くは、韓国の文在寅政権が、日本を露骨に敵視して無理難題をぶつけてきたからだととらえているが、日本政府は、報復措置ではなく、韓国がずさんな行為を公然とくり返しているので、輸出国としてそのような措置を取らざるを得なかったのだ、と説明している。

だが、文政権の言動の根元は、韓国の経済が悪化して、失業率が上昇したことなのだ。そのために、当然ながら文政権の支持率がどんどん落ちる。

それを止めるために、どの国の首脳もが取るのは、前政権を強く批判して、逆の政策を打ち出すことである。

たとえば、アメリカのトランプ大統領は、オバマ大統領の政策を全面的に否定して、逆の政策を実施している。TPPの否定、イラン核合意からの離脱など、数多くある。

文政権も、まず、朴槿恵大統領が日本政府との間で結んだ慰安婦問題の合意を否定することではじまった。だが、これをやっても支持率は上がらなかった。

そこで持ち出したのが、「徴用工問題」であった。いってみれば、韓国人の被害者感情をかきたてようとしたのである。

これに対して、日本政府は、七月一日に、韓国向けの半導体素材三品目の輸出規制強化措置を発表した。

さらに、八月には、韓国を「ホワイト国」から除外することを決めた。

だが、根元は韓国の経済が悪化して、失業率が上昇したことで、文政権としては取るべき方策が掴めなくて、いわば苦しまぎれの政策を打ち出したわけだが、そんなときに、日本政府が韓国の経済に対して厳しい政策を取りつづけることは、韓国を追い詰めることになるのではないか。そして、追い詰められれば文政権がどのようなことをやってしまう恐れがあるのか。

日本は、韓国に比べて、国力も経済力も強く、経験も豊富なので、韓国を追い詰めるのではなく、経済立て直しのための、前向きの提案をすべきだろう。なぜ、どの自民党有力者も、安倍首相を諫めなかったのか。以前の自民党ならば、そういう諫めの意見が出たはずである。(たはら・そういちろう=ドキュメンタリー作家)
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