秋月祐一『迷子のカピバラ』(2013) 最終のモノレールから見てゐたよキリンにお辞儀されてゐるのを |書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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現代短歌むしめがね
更新日:2019年9月16日 / 新聞掲載日:2019年9月13日(第3306号)

最終のモノレールから見てゐたよキリンにお辞儀されてゐるのを
秋月祐一『迷子のカピバラ』(2013)

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現代短歌はあらゆる鉄道を詠んでいる。モノレールを詠み込んだ短歌もある。モノレールは現在全国で10路線が営業しているが、その中でキリンを連想しやすいのは、上野懸垂線、通称「上野動物園モノレール」だろうか。1957年開業のモノレールは、まさに上野動物園の中を走る日本最短のモノレールである。しかし老朽化によって2019年をもって運行休止になっている。

もちろん上野動物園にはキリンがいるのであるが、しかし上野動物園のモノレールは東西の二つの園をつなぐものだったので、モノレールの中からキリンを見ることができたかというとちょっと無理がある。このキリンは、クレーン車をそうたとえたものと捉えたほうがいいのだろう。実際、歌集『迷子のカピバラ』ではこの歌の次のページに、夕暮れ時にビルとクレーン車を見上げて撮影した写真が載っている。キリンがクレーン車のことを指していると考えたら、羽田空港線でも大阪モノレールでも、都心部のモノレールならたいていのところは舞台としてイメージすることが可能だ。

しかし、上野動物園モノレールのような吊り下げられて運行する懸垂式は、そのビジュアルが日本人のモノレールのイメージに大きく影響している。懸垂式モノレールのイメージは、大きな何かにぶらんと吊り下げられながら運ばれてゆく「平凡な日本人」像と重ねられている。キリンのお辞儀も、「毎日お疲れ様です」という意味合いに思えてくる。(やまだ・わたる=歌人)
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