【横尾 忠則】(偽の)引退宣言⁈日替り病院巡り|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2019年9月16日 / 新聞掲載日:2019年9月13日(第3306号)

(偽の)引退宣言⁈日替り病院巡り

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おでん(撮影・筆者)
2019.9.2
先週の石綿クリニックの採血の結果は腎機能は前回よりやゝ回復、尿酸値は顕著に改善、血糖値はOK、中性脂肪は正常値まで改善、悪玉コレステロールは前回よりやゝいいが平均値より高め。おゝむね前回より改善。

目下制作中の写楽をテーマにした木版画が年内に10点仕上るが、特別にB全サイズの大きい木版画を自ら彫刻したく、木版画の指導者とオーナーの水谷さん来訪。こうした挑戦欲に対して、創作欲はほぼ0欲。アスリートが今のぼくのような状態なら引退発表するだろうなあ。創作意欲を高揚させるために偽の引退もありかな。
2019.9.3
 〈高倉健サント撮影所デ話シテイル間ニ深夜近クニナッタ。場面変ッテ郷里ノ小学校。両親ニ帰省シタコトヲ知ラセテナイノデ健サンノオ付キノ人ニ自宅ニ電話ヲシテモラエナイカト頼ム〉夢を見る。

今朝起床時、猛烈に寝汗をかいて、熱中症気味。OS1を飲んでやっと安定。と同時に風邪症状は昨日から引いている妻の症状と同じ。一家にひとり風邪患者がでるとたちまち感染。

新幹線の車内に配布(グリーン車のみ)されている「ひととき」が猫の特集で、豊島横尾館の周辺の猫取材の依頼に、以前2年間温泉巡りをした宮本和英さんが今回も同行。

終日、体調悪し。
おでん(撮影・筆者)
2019.9.4
 見事に朝まで不眠。

日産玉川病院の中嶋先生を訪ねる。「横尾さんの主治医は横尾さんです」と自己診断に従うよう、病人扱いされず。

NYのアルベルツ・ベンダ画廊より、作品が戻ってくる。ぼくのNYのコレクターの大半が有名なアーティストで投資を対象にしたコレクターはいないのが安心。
2019.9.5
 深夜に咳の発作の連続で今日も不眠状態。

10時から神戸の山本さん次回展「自我自損」の出品作を集荷に。

朝日新聞の書評編集長吉村彰子さんと新しく担当になるドイツ帰りの板垣麻衣子さんが来訪。担当者が変ると書評も変るような気がする。

躰がもうひとつスコーンと抜けないので、東京医療センターの鄭東孝先生を訪ねる。毎日のように日替り病院を巡る。細かく診察を受ける。血液検査、レントゲン検査の心電図。結果、入院するか通院の二者択一を迫られるが後者を選ぶ。明日から毎日通院することになる。喘息の発作がでているが、他にも要因があるので、該当する薬によって様子を見ることになる。
2019.9.6
 病気は突然やってくる。不思議な現象だ。何が起こっても、ノー・プロブレムと思うようにしているが、これも現実と対峙するチャンス。

午前中に東京医療センターへ徳永と。彼女は難聴の通訳。この年になると付き添いがないとヤバイことが起る可能性がある。薬の効果が出たのか、昨日のデータよりやゝ改善しているが、尿検査と吸入とステロイドの点滴を受ける。その結果、呼吸は数値的にかなり楽になっているはずだが、息切れと手の震えの症状が見られる。甲状腺ホルモンの病気の可能性を心配したが、正常だったので安心と言われる。現在のところ特殊な菌は体内にないのでその心配はないと。しかし、現在の体調は正常時の半分以下なので、1週間後の神戸行きは中止した方がよく、なるべく動かない方がいいと。今日から新しいプレドニンという元気になる薬を処方される。今後、毎日通院して小刻みに診察して細かくチェックしていくことになる。薬は一週間で終らせ、ステロイド点滴も3回で終らせる。他に吸入器を一日に2回実行のこと。ここの病院はロビーは空港のように広く、レストランも2つ、喫茶室、美容院、書店、コンビニもあって、一日遊ぶことができる。近ければ毎日通って、スケッチしたり、読書したり、原稿が書け、近くの公園も散歩できる。

今日から2週間は完全閉店休業を実践。
おでん(撮影・筆者)
2019.9.7
 昨日、鄭先生から手の震えの症状を指摘されて初めて気付いたが、本や新聞をめくる時、確かに指先きが震えてめくりにくい。文字も震えている。指の変形もそうだったが、知らぬ間に躰は少しずつ機能を失っていっている。これって、自分にとっては大発見である。発見は物の見方を変える、創造の核です。必ずしも否定的ではない。

終日アトリエで無為の時間を有為に過ごす。
2019.9.8
 喘息音が難聴の耳にも大きく響く。(よこお・ただのり=美術家)
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