【横尾 忠則】時間が異なる異境で、病人になるサプライズ|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2019年9月23日 / 新聞掲載日:2019年9月20日(第3307号)

時間が異なる異境で、病人になるサプライズ

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東京医療センターにて(撮影・筆者)

2019.9.9
 起床と同時に息苦しくて呼吸困難になる。徳永が東京医療センターに同行するためにタクシーを呼んでくれていた。車内の冷房がよく効いていたので呼吸は落ちつく。鄭先生と話合って、咽が乾いたり味覚障害、食欲不振の原因は薬の影響ではないかと自己診断の結果、薬を全部排除してもらう。呼吸困難のため吸入をするが、先週に続いて酸素が少ない。身体の症状を考えると入院した方が快復が早いのではということで、急遽今日から入院が決まる。そして5、6人の医師チームが組織された。9階の個室からは東京湾方面の風景。部屋は快適で豪華客船の船室みたい。新たな女医さんが担当。色々処方を書いて、早速ステロイドの点滴が開始される。全て手際がいい。耳鼻科の角田先生とアシスタントが早速水やジュースの差し入れに。夕食はあまり好きじゃない魚だったけれど完食。外来担当の鄭先生も様子を見に。10時に2度目の点滴。来る看護士さんは皆美人で目のきれいな人ばかり揃えている。マスクをはずすと化ける可能性もある。波の打ち寄せるような咽のゼイゼイの音がうるさい。10時に点滴、部屋を暗くして下弦の月を眺めている時、月と地上の間に、一瞬強い光体。二度と出なかった。11時に点滴終って就寝。二回目は早朝の4時。夜、徳永が持ってきてくれた妻のぜんざい、好物は体によい。
2019.9.10
 ふと腕にかすかな感触で目が覚める。

どうやら点滴が終って処置をされているらしい。ところが4時の点滴には全く気づかず熟睡をしていたらしい。5時半起床。寝汗をかいていた。軽い咳。窓からのビル街。手前に大きいビルがないので、パノラマのよう。朝日の光の変化がすばらしい。たった一晩だけれど、入院生活がなんだか楽しいもののような気がしてきた。独身生活がなかったのでヤモメ暮しが新鮮だ。担当女医さん、鄭先生、それぞれ診察に、少しはよくなりつゝあるけれど体温やゝ高し。午前中の点滴。食事は満足。昼頃、元院長で主治医だった松本先生が御機嫌伺いに。その間、色んな看護士、栄養士、薬剤師の訪問あり。

神戸の「自我自損」展に出席できないのでメッセージ原稿を送る。

シャワーを浴びるが、この息切れはなんだろう。院内には大勢の患者さんがいる。そんな人達と比較すると、具合悪いとはとってもいえないが、いつか自分もそんな患者のひとりになるのだろうか。

アレルギー精神科の先生に吸入器の説明を受ける。この治療が非常に重要とかで毎日続けるように。今まではおろそかにしていた。

夜、鄭先生来診。入院予定だった明日一日ではまだ快復は無理。退院が延期されそう。

夜10時、点滴。
2019.9.11
 3時に目が覚めて、点滴時間4時まで待機、終了までの1時間眠れず。6時過ぎ起床。窓の外の景色をスケッチ。早朝女医の診察。朝食。この間から魚ばかり。好きじゃないが上手いと思って「無頓着」に食べる。

鄭先生来診。土、日、月の三連休は一時退院して自宅生活を試みたいと申し出る。

手がかなり震えて、文字は書きづらい。この症状が絵になると面白いかも。先生に相談の結果、薬の副作用かも、弱いのに変更!

病人になるのもサプライズだが、自己洞察の絶好のチャンスだ。ここは時間が異なる異境だ。次々とチームの色んな先生が現れる。食事がいいので多分体重が増えたと思う。食欲のなかった頃と雲泥の差だ。ただまだ血圧と体温が通常より高い。薄皮をはぐようによくなりつつあるかな?

鄭先生、女医先生は毎日。夕方も鄭先生。角田先生、アシスタント見舞に。

徳永がメールなど届けてくれる。またゲラ校正など発信。

夕方コンビニへ。おやつを買いに。

今日3回点滴、夜の10時で終了。12時頃まで『文藝』の原稿17枚書く。
2019.9.12
 点滴が終了した解放感と遅くまで原稿を書いていたせいか、結局朝5時起床まで一睡もせず。体調はまあまあ。そのあと『文學界』の原稿を約7時間書いて、クタクタ、夕方疲労最大。点滴が必要かと思ったが、安定する。とにかく不眠の上に過重労働がたたる。

夕方鄭先生の診察結果の報告を受ける。徳永がメモする。夕食前、角田先生のブドウの差し入れ。明日、いったん退院して、来週は通院。腎機能が落ちているのと、血圧が今までの120台から140台へ。こーいうことは滅多にない。
2019.9.13
 昨夜飲んだレンドルミンの効果なく、頭冴える一方、このままではヒローコンパイ、血圧今までの未経験の数値にパニック。看護士さんの登場だ。もうひとつデパスをもらう。睡魔がくるまで、一時間ぐらい夜景を眺めながら、12時頃就寝。目覚めたのは5時。約5時間睡眠だが、熟睡感あり。やっと快復のきざしに一安心。入院して、別の病気になるところだった。

3連休のため退院。自宅へ。
2019.9.14
 薬の副作用か、口内炎ぽい。天気が悪いことと、体調に関係ありと考える。
2019.9.15
 夜、容体急変。深夜に救急搬送される。(よこお・ただのり=美術家)
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