馳平啓樹著 かがやき|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年10月5日 / 新聞掲載日:2019年10月4日(第3309号)

馳平啓樹著 かがやき

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かがやき(馳平 啓樹) 水窓出版
かがやき
馳平 啓樹
水窓出版
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 二〇一一年に文學界新人賞を受賞した馳平啓樹氏初の作品集。自身も製造業に従事する兼業作家として創作活動を続けてきた著者の作品は、仕事での体験を反映させた作品が多く、今回の作品集も「労働」をテーマに編まれている。表題作の「かがやき」では、山に囲まれた町で育ち、海に憧れて就職した港町で「積み込み屋」として働く主人公と「部品屋」の男たちとの「部品と納期」をめぐる息詰まるような攻防が描かれる。そうした日々を潮風に晒されて働くうち、「おれ」の心は行き場を失い、次第に港町の外から出なくなる。海の向こうに主導権を握られて「部品」ばかり扱わされる自分たちには「完成品」が見えない。「家に一人でいても暇だから?」、自問自答とともに夜は弁当工場の夜勤バイトでサンドウィッチを作る。縦四列にパンが流れてくるサンドウィッチの製造ラインでは速さも並ぶ間隔も厳密に定められ、自分がキャベツとハムを載せれば、隣りの誰かがパンを被せ、別の誰かがその上に玉子とツナを載せ、次の誰かがパンを被せる。自らも「部品」の一つとなって、その繰り返しの安寧に身を委ねる。しかし、その「唯一の楽しみ」が奪われたとき――。「美味しそうじゃなかったのかな」、呟いた戯れ言が緊張を破る。本書にはほかに、書き下ろしの「梨の味」、編集プロダクションで働く男の職場と家庭での奇妙な「労働」を描く「クチナシ」、文學界新人賞受賞作「きんのじ」を収録。いずれも「製造」に携わる人々の「労働」と「生/性」を誤摩化しのない筆致で描き出す。
この記事の中でご紹介した本
かがやき/ 水窓出版
かがやき
著 者:馳平 啓樹
出版社: 水窓出版
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