米澤穂信著 Iの悲劇|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年10月5日 / 新聞掲載日:2019年10月4日(第3309号)

米澤穂信著 Iの悲劇

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Iの悲劇(米澤 穂信)文藝春秋
Iの悲劇
米澤 穂信
文藝春秋
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 二年連続ミステリランキング三冠を達成した米澤穂信の最新作。舞台は、南はかま市にある小さな集落、簑石――六年前に住人が誰もいなくなり、文字通り「死んだ村」である。ふたたび簑石を甦らせるべく、新たな定住者を募る「Iターン」プロジェクトが開始、「甦り課」が新設された。

メンバーは、新人でどこか学生気分の抜けない観山、出世を望むプロジェクトリーダー万願寺、やる気は薄いが定時退社は厳守する課長の西野の三人。一癖も二癖もある移住者たちのトラブルを解決するため、彼ら(主に万願寺)は日々、奔走する。

移住第一陣の隣人騒動が解決したと思えば、養鯉が消える。さらには子どもが行方不明となり、秋祭りでは食中毒騒動まで起きる始末。それでもなんとか仕事のため、出世のため、簑石を再興するため、努力する万願寺だが、彼を待ちうけていたのは……。静かで鮮やかな真相解明は、さすがである。

作中で描かれる問題は、蓑石だけ、万願寺だけに限られたものではない。読み進めるに連れ、日本各地に存在する限界集落の現実、都会と地方の格差、そして取捨選択という行為の厳しさが見え隠れする。

ミステリ短篇集でも悲喜劇集でもない、「ミステリ悲喜劇集」。秋の夜長に読むのに、うってつけの一冊ではないだろうか。
この記事の中でご紹介した本
Iの悲劇/文藝春秋
Iの悲劇
著 者:米澤 穂信
出版社:文藝春秋
以下のオンライン書店でご購入できます
「Iの悲劇」出版社のホームページはこちら
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