又吉直樹インタビュー 作品化されない時間を描く 「人間」(毎日新聞出版)刊行記念|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

読書人紙面掲載 特集
更新日:2019年10月11日 / 新聞掲載日:2019年10月11日(第3310号)

又吉直樹インタビュー
作品化されない時間を描く
「人間」(毎日新聞出版)刊行記念

このエントリーをはてなブックマークに追加
又吉直樹氏の長編小説『人間』が、十月十日、毎日新聞出版から刊行される。本作は著者初の新聞連載小説として、毎日新聞夕刊に二〇一八年九月三日~二〇一九年五月一五日まで、平成の終わりから令和にかけて、掲載されたもの。芸人の世界を描き芥川賞を受賞した『火花』、演劇の世界で生きる男とそれを支える女、それぞれ夢を抱いて上京した若い二人の不器用な恋愛を描いた二作目の『劇場』、そして三作目となる『人間』では、表現者を目指す若者たちの葛藤、そして彼らが過去と向き合う姿とその後の人生が描かれる。本書の刊行を機に、著者の又吉直樹氏にお話を伺った。         (編集部)
第1回
人生はそのあとも続いていく

――新作の『人間』、大変面白く読ませていただきました。『火花』『劇場』に続く三作目の作品ですが、小説のいろいろな手法も取り入れながらより遠くに、より自由に表現の幅を広げておられるような印象でした。本作では第一部から第三部まで、一クール毎に時間の経過を取り入れ、それぞれにヤマ場が盛り込まれて変化していって、新聞連載、長編小説としての醍醐味を読者も味わえたのではないかと思います。新鮮に感じたのは第三部の沖縄の場面で、主人公・永山が自分にもぐっていく、ルーツである沖縄と家族に回帰して原初の風景に戻っていくというかチャンプルーになり、すべてを包み込んで自分と和解していくような印象でした。今回の執筆にあたって、全体のプロット、着地点を決めて書き始めたのですか?
又吉 
 小説の一部から三部まで雰囲気が違いますよね。小説の着地点は決めてはいなかったのですが、この小説を書く動機としては、小説とか映画もそうだと思うんですけど、物語って劇的な何かの時間を収めたり、劇的じゃなくても語り手の区切った時間があって。人が生まれてから死ぬまでを描いている物語もいっぱいありますけど、ほとんどの物語は生きている時間のどこかの何年か、いわゆるハイライトみたいな部分を切り取っていることが多いと思うんです。でも、実は人生っていうのはそのあとも続いていくというか、特に作品化されないような時間がそこからずっと続いていくということを思ったときに、その時間を書いてみたいなと思ったんです。なんとなく沖縄とか、自分のルーツみたいなことを書いてみたいなと思っていたんですけど、具体的にどういうかたちでいくかみたいなことまでは考えていなかったですね。
2 3 4 5 6 7
この記事の中でご紹介した本
人間/毎日新聞出版
人間
著 者:又吉 直樹
出版社:毎日新聞出版
以下のオンライン書店でご購入できます
「人間」出版社のホームページはこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加
又吉 直樹 氏の関連記事
読書人紙面掲載 特集のその他の記事
読書人紙面掲載 特集をもっと見る >
文学 > 日本文学 > 人生関連記事
人生の関連記事をもっと見る >