高橋輝次 編集 タイトル読本|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年10月19日 / 新聞掲載日:2019年10月18日(第3311号)

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タイトル読本

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タイトル読本(高橋 輝次) 左右社
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高橋 輝次
左右社
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 「思わず受け手の足を止め、作品を手に取らせ」る、「覚えやすいメロディーのように多くのひとの記憶に残」る、「時には社会現象になってしまうことさえあ」る、という編著者の言葉に、過去に出会ってきたタイトルのいくつかを想起する。その行為が既に楽しい。本の楽しみはそのものを読むだけではない。本について、あるいはタイトルについての語りに耳を傾け、自分の記憶を彷徨うのもその一つだと気づく。

本書は「つけ方」「発想とヒント」「誕生のとき」「それぞれの現場から」の四章から成るが、並ぶ著者名を目で追って、誰から読もうか…と考えるのも楽しみどころ。

堀口大學は『月下の一群』について書く。唐十郎とこのタイトルとの関係はいかに? 林芙美子は、姓名と題名との調和について、〈「花々」林芙美子〉では華やか過ぎて甘いが、〈「花々」横光利一〉ならぴたりと調ってしゃんとする、と面白いことを書いている。田辺聖子は「タイトルができないと、主人公が動いてくれない」。小川洋子の一番好きな題名はジョン・マグレガー著、真野泰訳『奇跡も語る者がいなければ』。「この本の背表紙を見るたび、小説を書く意味を、誰かが耳元でささやいてくれているような気持になれる」「そうして再び、書きかけの小説の前に座る」とエッセイは閉じられる。群ようこのエッセイは、軽やかだが味わい深い。処女作『午前零時の玄米パン』がもしかしたら『おねえさんの地獄突き』だったかもしれないなんて…。三谷幸喜の「縁起のいいタイトルは」は、少説家とは違う視点が面白いし、絵画のタイトルについて林哲夫が、詩歌の現場からは穂村弘や俵万智が、翻訳の現場から、戸田奈津子や鴻巣友季子たちが古今東西のタイトルを語る。ほか池波正太郎、渡辺淳一、筒井康隆、川本三郎、宮部みゆき、恩田陸…。タイトルを語るとは、創作について、言葉について語ること。本の楽しさを堪能できる五十一篇のエッセイアンソロジー。
この記事の中でご紹介した本
タイトル読本/ 左右社
タイトル読本
著 者:2696
出版社: 左右社
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