【横尾 忠則】灘本唯人さん死去:人生も運命もわからんもんや|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

日常の向こう側ぼくの内側 第251回
更新日:2016年7月29日 / 新聞掲載日:2016年7月29日(第3150号)

灘本唯人さん死去:人生も運命もわからんもんや

このエントリーをはてなブックマークに追加

筆者20歳、灘本唯人さん30歳(於神戸)


2016.7.18
 4時に目が覚めてテレビをつけたらイチローが出ている。一番先発で3本ヒットを打つ。最近はベンチスタートが多いが、出れば打つのだから、もっと出場させてもらいたい。

今日は何の日か知らないが祝日だ。誰かとランチをしたくなって磯〓憲一郎さんを誘って増田屋へ。二次会は風月堂。ぼくは怠け者だから絵は毎日描かない。描かない時は1ヶ月近く描かないが、磯〓さんはぼくに比べるとうんと勤勉家だ。今日だって僕と会う前の3時間書いていたが、3時間で3行しか書けなかったそうだ。その3行を全部消してしまったと言う。小説家は頭の作業だから大変だなあ。画家は肉体が動けば一日で一点仕上がる。それもぼくの場合は同じ絵を何点も反復する。ピカソは生涯で何千点も描いた。画家は頭を使わないから何点でも描けるのだ。

2016.7.19
 昔のスタッフの風間君が来てくれて、アトリエの地下の資料庫の写真の整理をしてくれる。「お宝写真がいっぱいありますよ」と喜ぶ。
ポプラ新書の浅井さんと及川さんが以前のインタビューの続きを。タイトル未定だけれど今秋出版予定。全篇語り下し。及川さんは元〓凡社の編集者でぼくの画集、別冊太陽、新書判など何冊も担当してくれているので、他の本と重複しない内容でと苦労してくれている。
神戸から次回展「ヨコオ・マニアリスム」のための出品資料の搬出に平林さん来訪。ひとつの作品が完成するまでのメモやスケッチや資料など、プロセスを見せながら、解明していくというミステリィ手法で作品の成立を追うという、こちらとしては戦々恐々の展覧会になりそう。
オフ・デザインの小山さんから、灘本唯人さん(90)が亡くなったと電話。去年、お見舞の手紙を書いたけれど返事がなかった。アマチュアの投稿少年五人で神戸・元町の喫茶店で展覧会をした時、灘本さんが何も知らずに入り、ぼくの作品を見て、同伴の神戸新聞の図案課長に「この子、入れたら?」とぼくを推薦したために、考えもしなかったデザイナーの世界に入った。「人生も運命もわからんもんや」。
それにしても、最近は死ぬのが流行みたいに次々逝く。「そして誰もいなくなった」ってことになるんだろうなあ。

2016.7.20
 午後、国立東京医療センターへ。知人の耳鼻咽喉科の角田先生を訪ねる。ぼくの顔を見ると自販機の鯛焼か今川焼が出る。今日は今川焼。「糖質は控えるように病院から言われているんですよ。ダメじゃないですか、先生!」
4時から眼科の野田先生の再診あり。良くも悪くもなっていない。現状維持ならOK。
夕方、朝日新聞の書評委員会へ。着くなり編集部の人達が、たった今配信されましたと、「講談社エッセイ賞」発表のメールをスマホで見せてくれる。『言葉を離れる』(青土社)に与えられた賞だが、本職じゃないけどどことなく嬉し恥かしい。

2016.7.21
 雨。1ヶ月前に入れていた玉川病院の腎臓科の今村先生を訪ねる。こちらも現状維持。但し、コレステロール値が下っている。食事療法の成果?

2016.7.22
 うっかり窓を開けたまま寝たので夜中に軽い喘息発作あり。何んとなくシャキッとしないので隣りの水野クリニックへ。
イチロー3000本まであと4本。

2016.7.23
 暑いのか寒いのか判断できない。貝原益軒の『養生訓』を何冊も持っているのに又また買ってしまった。それも訳者違いのを2冊。自宅の枕元とアトリエのテーブルの上に。
夜中に覚醒。絵の構想が次々と浮かぶ。朝まで眠れず。不眠のせいで頭と躰が重いので整体院へ。まあ気休めだけれど、この気休めが結構骨休めになる。なんでも養生、養生!

2016.7.24
 曇時々晴。平べったい雲の間から入道雲が顔を出しているが、まだ梅雨は明けないの?
「ポケモンGO」って何んなの? 全然わかんない。
セゾン現代美術館の難波英夫さん1年振りに遊びに。8時間半、美術四方山話、よく二人共飽きないねえ。
このエントリーをはてなブックマークに追加
日常の向こう側ぼくの内側のその他の記事
日常の向こう側ぼくの内側をもっと見る >