第65回 江戸川乱歩賞 贈呈式|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年10月18日 / 新聞掲載日:2019年10月18日(第3311号)

第65回 江戸川乱歩賞 贈呈式

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九月二十六日、第六十五回江戸川乱歩賞の贈呈式が、東京・千代田区の帝国ホテルで行われた。受賞は神護(じんご)かずみ「ノワールをまとう女」(NOIRを纏う彼女」改題)に決まった。
選考経過を、新井素子、京極夏彦、月村了衛、貫井徳郎、湊かなえの選考委員五氏を代表して、貫井氏が報告した。
「選考の席で評価されたのは、まず着眼点です。ヘイトとか炎上であるとか、ネガティブな動きを裏工作で鎮静化していく、見事にアクチュアルで、設定として面白いと思いました。
またプロットが堂に入っていて、賞が決まった後に出版経験があると聞き、なるほどと思いました。選考の席で指摘された問題点としては、リアリティについてです。
ただリアリティの強度は上げようと思えばいくらでも上げられますし、その道の専門家しか書けないものを要求しても、創作の幅を狭めてしまう。少なくとも僕にとっては、充分だと思い、他にも充分と判断した選考委員がいたので、授賞に至りました。神護さんがこれまでの最年長受賞者ということですが、問題は何を書くかであり、神護さんにはこれまでの貯めがあると思うので、年齢を感じさせないぐらい旺盛な創作意欲で執筆していただけるのではないかと期待しています」
神護かずみ氏
続いて神護氏が挨拶に立った。「私が小説と初めて出会ったのは、かれこれ五〇年前になります。江戸川乱歩先生の「少年探偵団」シリーズ、この第三巻の『少年探偵団』が生まれて初めて小説として意識しながら読んだものです。当時の少年たちの多くがそうであったように、非常に夢中になりまして、確か全十五巻だったと思いますが、二~三年かけて全部そろえ、宝物のように何度も読み直しました。
よもや五〇年後に、その先生の名前を冠した賞を頂戴することになるとは、思っておりませんでした。とはいいましても、私のデビューは今から二十三年前、一九九六年になります。生まれて初めて最後まで書き上げることができた小説を新人賞に出して、最終選考には至らなかったのですが、幸いなことに出版社からお声掛けいただき、本にすることができました。
ビギナーズラックで自分の本が書店に並ぶよろこびを知ってしまったことが、物を書くことを止められなくなったきっかけだと思います。その次に二〇一一年に、遠野物語100周年文学賞という公募に挑戦しました。『人魚呪』という作品を本にすることができ、三冊ほどその関連で出させていただきました。ただこのときも、なかなか自分の思うようなかたちに至れなかったということがございます。そして二〇一九年、ようやくスタート台に立てた気がしています。
いままで芽が出なかった分、こうしてにこやかに話しておりますが、おなかの中にはささくれ立った思いですとか、憤怒ですとか、恨みですとか、そういったものがいっぱい蓄えられてございますので、これらは今後作品を作っていく上で、力になると信じております。最後になりますが、古の先人たちがうみだし、我々の先輩たちが慈しみ育て上げた、小説という素晴らしい文化が、未来永劫発展することを祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます」

乾杯の音頭には大沢在昌氏が立ち、贈呈式は記念パーティへと移った。
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