第41回 サントリー地域文化賞 贈呈式|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年10月18日 / 新聞掲載日:2019年10月18日(第3311号)

第41回 サントリー地域文化賞 贈呈式

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受賞団体の代表者たちと、サントリー文化財団理事長・鳥井信吾氏
九月二十七日、東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京で、第四十一回サントリー地域文化賞の贈呈式が行われた。本賞は、地域文化向上に貢献した団体または個人を顕彰するもので、今回は函館西部地区バル街(北海道函館市)、上三原田歌舞伎舞台操作伝承委員会(群馬県渋川市)、冨田人形共遊団(滋賀県長浜市)、瀧廉太郎記念音楽祭(大分県竹田市)、高千穂の神楽(宮崎県高千穂町)の五団体に受賞が決まった。式ではそれぞれの受賞団体の代表者による挨拶のほか、活動を紹介する映像の放映もあり、地域の食材を使った郷土料理がふるまわれるなど、五感で各地の文化を知ることができる場となった。

二〇一九年の春に三十一回目を迎えた函館西部地区バル街は、参加店を掲載したマップを見ながら街を巡り、事前に購入したチケットと引き換えにドリンクとおつまみを味わう、こうした催しの元祖である。街をそぞろ歩き、知らない者同士が店の情報交換などをする「街角での社交」の非日常感が魅力。選考委員の飯尾潤氏は「バル街は函館を変えつつある」と記す。

渋川市赤城町上三原田地区には、世界にも類をみない特殊な機構を持つ「上三原田の歌舞伎舞台」がある。複雑な舞台操作には熟練の技と多くの人手が必要で、住民が交代でその作業にあたる。今年は舞台創建から二〇〇年。選考委員の藤森照信氏はこの舞台操作の伝承は「地域の人々の誇りと結束の核となるものとして、高く評価されよう」と書いている。

一八七四年に発足した冨田人形共遊団は、低迷した時期があったものの、一九九四年から海外公演を行うようになり、二〇〇一年、北米の大学をまわる公演ツアーで会った学生に声をかけたところ、同年末三十九人の外国人学生が来日。翌年から、外国人の大学生がホームステイしながら人形浄瑠璃を学ぶ「冨田人形サマープログラム」を開始。選考委員の田中優子氏は、地域に密着した活動が江戸時代以来続いていると同時に、世界との繫がりを広げ、世界の若者に日本文化を伝える役割を担っていることを評価した。

瀧廉太郎が幼少期を過ごし、名曲「荒城の月」の曲想を得た大分県竹田市では、一九四七年に「楽聖・瀧廉太郎追悼四五周年記念音楽祭」をスタート。県の高校声楽コンクールからはじまり、現在は「全日本高等学校声楽コンクール」へと規模を拡大、若手声楽家の登竜門となっている。選考委員の佐々木幹郎氏は、山間の町で行政と市民が一体となりこの取組が継続されてきたのは「この地が秘めた文化都市としての遺伝子のなせるわざ」だという。

日本神話ゆかりの地として知られる高千穂町では、夜を徹して氏神に神楽を奉納する「夜神楽」が、少なくとも鎌倉時代初期から、現在まで続いている。またそれとは別に、観光客向けの「高千穂神楽」が三六五日、一九七二年から五〇年近く休まずに続いている。演者は各集落の奉仕者殿たち。選考委員の御厨貴氏は「過去の伝統を引き継ぎながら、もうそこまできている過疎化、高齢化への対応に苦慮しつつ」「〝今〟神楽を踊ることを一生懸命にやっている」ことを評価した。

どの団体の活動も興味深く、実際に地域を訪れて見聞したい気持ちが高まる贈呈式だった。
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