いまモリッシーを 聴くということ 書評|ブレイディみかこ(Pヴァイン)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年10月29日 / 新聞掲載日:2019年9月6日(第3305号)

いまモリッシーを 聴くということ

いまモリッシーを 聴くということ
著 者:ブレイディみかこ
出版社:Pヴァイン
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 本書はイギリスのバンド「ザ・スミス」の1984年の1stアルバムから,バンドのヴォーカルだったモリッシーの2014年のソロ最近作までを追ったディスクガイドであり,同時に80年代以降のイギリスの時勢をとらえた社会書でもある。

モリッシーとはどんな存在か,というのは序章の一節からよくわかる。「モテと非モテ,リア充とオタク,人間と動物,クールとアンクール,ノーマルとアブノーマル,金持ちと貧乏人。これらの対立軸で,モリッシーは常に後者の側に立っていた」(p.10)。彼の活動を追うことで,その時々のイギリス社会の雰囲気をつかむことができる一冊だ。

また,ブライトンに住み現地の空気を肌で感じている著者の筆致が,イギリスを取り巻く状況をよりリアルに伝えてくれる。

かつては一般的だった“Would you like a cup of tea?”というもてなしの言葉は,著者が勤めていた保育園では禁止されていたという。日本ではまだイギリス=紅茶のイメージが強いが,今では外国人やコーヒーを好むミドルクラスなど各家庭の多様性を尊重するため,「紅茶」に限って勧めてはならないのだそうだ。一方で,コーヒーメーカーも買えない労働者階級の人々は今も一日中紅茶を飲んでいる。「英国的なもの」が時代に取り残されていく寂寥感が,モリッシーの楽曲“Everyday Is Like Sunday”の詩のやるせなさと相まって語られる印象深いエピソードである。

英題は“MORRISSEY -GOOD TIMES FOR A CHANGE”。モリッシーの詩の1フレーズから取られたものだが,本書はまさに変化の時を迎えているイギリスの現状を理解する一助となるだろう。政治とポップ・カルチャー,どちらにも関心がある人も,どちらか一方にしかない人も,ぜひ手に取ってみてほしい。
この記事の中でご紹介した本
いまモリッシーを 聴くということ/Pヴァイン
いまモリッシーを 聴くということ
著 者:ブレイディみかこ
出版社:Pヴァイン
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