絶望手帖 書評|家入 一真 (青幻舎)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年11月5日 / 新聞掲載日:2019年10月4日(第3309号)

絶望手帖

絶望手帖
編集者:絶望名言委員会
編者:家入 一真
出版社:青幻舎
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 その生徒は大きな困難を抱えているようだった。直感的にこの本を手渡す。私「つらかった時期は,毎朝起きると,あぁ起きちゃった,って思ってたんだよね」生徒「それは病んでましたね」私「落ち込んだときは無理に浮き上がろうとしないで沈んでみるとプールの底に足がつく感覚があって,どうにか浮き上がれてたな」生徒「ふーん」。

219の名言が,人間関係,仕事,恋愛,空虚,幸福,社会,業,人生,絶望の9テーマに分けてある。各頁に大きく縦書きの名言,下部に小さく横書きで,言った人/肩書き/出典,3行の解説。出典は古典的名著だけでなく現代の図書,ブログやTwitter,「匿名希望/OL/編集部取材」といったものも混じる。解説ではその人がどう絶望していたか書かれていて,言葉の背景を考える助けになる。名言の他にカフカなど9人の「絶望の達人」が1人ずつ似顔絵入りで紹介された頁もあり,この人もつらかったのかと親しみがわく。

そして各テーマの最初と最後の頁に置かれたイラストと言葉がユニーク。例えば「人間関係」の終わりではコーヒーを見つめる人のイラストに「苦くて深い,絶望の世界」。「絶望」の扉では暗い崖っぷちに向かい四つん這いになる人のイラストに添えて「希望はしばしば あなたを裏切りますが, 絶望は裏切りません。 希望は人を選びますが, 絶望は選びません。(後略)」。

誰にでもきっと,絶望を味わい噛みしめて向き合うことでしか生き抜けない時期がある。ひざを抱えて「あとがき」の次頁をめくると,闇の先に見えてほしい光降り注ぐイラストが待っている。

冒頭の生徒「3回読みました,こういうポエムみたいなのって結構好きなんですよ」。彼女の左手の甲に痛々しく留められていた安全ピンは,返却のときには無かった。
この記事の中でご紹介した本
絶望手帖/青幻舎
絶望手帖
編集者:絶望名言委員会
編者:家入 一真
出版社:青幻舎
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