動物になって生きてみた 書評|チャールズ・フォスター ( 河出書房新社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)
更新日:2019年11月13日 / 新聞掲載日:2019年10月25日(第3312号)

動物になって生きてみた

動物になって生きてみた
著 者:チャールズ・フォスター
出版社: 河出書房新社
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 動物になって生きるとはせいぜいその動物の生活環境でキャンプを行う程度なのかと思いきや,書かれていたのは凄まじい同化であった。対象とする動物を理解するために生活環境を極限まで近づけていた。動物となっている間は視覚ではなく聴覚と嗅覚に重きを置いている。そして皮膚と口腔と鼻腔から動物の生活環境を感じ取ろうとしていた。本当に動物になって生きてみようとする強い意志と真摯さが記されている。

アナグマの章では四つん這いで移動し,幼い息子と共に湿地の穴で眠りミミズを食して何週間も過ごしている。「ミミズは究極の地元産食品」(p.40)と述べている。カワウソの章ではザリガニを食しながら丸裸でカワウソ同様に糞を撒いている。著者は山奥や川に住む動物だけではなく,都会に住み人間の出すゴミを食料として生きるキツネや,イギリスの上空からコンゴまで移動し続けるアマツバメにさえなろうとしている。都会のキツネになってネズミを捕らえようとしていると住民に見つかり,警察官に捕まりそうになり逃げだすエピソードは傑作だ。確かに街中で酷い悪臭を放つ身なりでネズミを追いかけていればただごとではないと思う方が常識的である。

各章に著者の幼少時代からの動物への好奇心と親しんだ童話の思い出が散見する。見守ってくれた両親への感謝が伝わってくる。伸びやかに育った著者は,動物に対して多くの人間が抱く偏見を免れている。そして自然に深く身を置くことで動物を理解できること,自分が怯える自然と愛しく感じる動物をつなげる意義を記している。

本書は2016年のイグ・ノーベル賞生物学賞を受賞している。イグ・ノーベル賞とは人々を笑わせ,そして考えさせてくれる研究に対して与えられるが実に堂々とした受賞であると納得した。
この記事の中でご紹介した本
動物になって生きてみた/ 河出書房新社
動物になって生きてみた
著 者:チャールズ・フォスター
出版社: 河出書房新社
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