副作用あります!? 人生おたすけ処方本 書評|三宅 香帆(幻冬舎)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

  1. 読書人トップ
  2. 書評
  3. 読書人紙面掲載 書評
  4. 文学
  5. 日本文学
  6. 企業・ビジネス
  7. 副作用あります!? 人生おたすけ処方本の書評
読書人紙面掲載 書評
更新日:2019年11月9日 / 新聞掲載日:2019年11月8日(第3314号)

副作用あります!? 人生おたすけ処方本 書評
本棚に置きたい常備薬
シチュエーションとヴァリエーション多彩な選書

副作用あります!? 人生おたすけ処方本
著 者:三宅 香帆
出版社:幻冬舎
このエントリーをはてなブックマークに追加
 ご存知の方は、著者名を見ただけで、「おっ」と思われるかもしれない。三宅香帆さん。そう、天狼院書店の書店員であった頃、「京大院生の書店スタッフが『正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね』と思う本ベスト20を選んでみた。《リーディング・ハイ》」の記事をバズらせた、あの三宅香帆さんである。彼女はあとがきで「最初の書評本は自分が救われた本を紹介したので、今度は誰かを助けられるような本を紹介したいと思った」というようなことを述べているが、まさにそのような一冊となっている。

まずは目次をめくってみる。「対処療法編」「予防編」など、四編にわけて「〇〇なときに読む本」がずらりと並んでいる。シチュエーションも多彩だ。「怒られた日の夜に読む本」「仕事に行きたくない日に読む本」などの日常的なものから、「プロポーズ前夜に読む本」「エスパーになりたいときに読む本」まで、さまざまな「症状」があり、その下に処方箋ならぬ「処方本」が書かれている。

ページをめくれば、著者の三宅さんは薬をオーダーメイドで処方する薬剤師さんのように、やさしいまなざしでそっとぴったりの一冊を差し出してくれる。その差し出し方がまた、ヴァリエーションに富んでいる。「わかる!」と思う本から、「えっそう来る?」と思う本まで、直球変化球をとりまぜて、思わぬ角度から「こんな本の読み方もあると思うんですよ」と投げかけてくるのだ。ううむ、やはり一筋縄ではいかない選書である。私はその技に心地よく翻弄されて、あれよあれよというまに読み終えてしまった。

一気読みはもちろん楽しいが、この本は長く本棚において、ことあるごとに気になる項目をちょこちょこ読み返すのがいいと思う。それこそ、家庭の常備薬のようなものだ。本の賞味期限、なんて言い方をするのは嫌味だが、きっといつの時代も自分を長く支えてくれる本が丁寧に編まれていると思う。

少し具体的な例をご紹介しよう。「早起きできるか心配な日に読む本」にはアレクサンドル・デュマの『モンテ・クリスト伯』が取り上げられている。よりによって、あの大長編を!? しかしそれは私の浅慮であった。著者はこう書く。「長いから読み切れると思わない」。たしかに、「あともう少しで読み終わる」と思うと、つい夜更かししてしまうものである。「明日も早いのに……でもこんな面白い本を読めたんだから本望……!」などと、なんど寝不足のまま朝を迎えたことか。しかし、この大長編なら確実に「今夜読み切れる」とは思わない。速やかにしかるべき時間に就寝できるはずだ。実は他にもいくつか理由があるのだが、そこはぜひ本書を読んで確かめてほしい。

なお、個人的に最も汎用性が高いと思ったのは、「面白くない映画を観たあとに読む本」だ。映画だけでなく、本やSNS、ニュースなど、世間にあふれる情報すべてに効く処方であった。レイ・ブラッドベリの『華氏451度』。常備薬として、長く自分の本棚に置いておきたい。
この記事の中でご紹介した本
副作用あります!? 人生おたすけ処方本/幻冬舎
副作用あります!? 人生おたすけ処方本
著 者:三宅 香帆
出版社:幻冬舎
以下のオンライン書店でご購入できます
「副作用あります!? 人生おたすけ処方本」出版社のホームページはこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加
小曽川 真貴 氏の関連記事
読書人紙面掲載 書評のその他の記事
読書人紙面掲載 書評をもっと見る >
文学 > 日本文学 > 企業・ビジネス関連記事
企業・ビジネスの関連記事をもっと見る >