【横尾 忠則】三途の川の童子と鬼が画家の中に棲んでいる|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2019年11月18日 / 新聞掲載日:2019年11月15日(第3315号)

三途の川の童子と鬼が画家の中に棲んでいる

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アトリエにて、エルベ・シャンデスさん、滝沢直己さんと(撮影・徳永明美)

2019.11.4
 〈大阪駅ノ裏手ニ広大ナ空地ガアッテ、ソコニタマガ住ンデイルトイウカ、野良猫ニナッテイル。連レテ帰ロウトスルガ本人(本猫?)ハソノ気ガナサソウダ。涙ヲ飲ンデタマノ意志ヲ尊重シヨウ〉という夢。続いてもう一本。

〈誰カ? ニ相撲ノ絵ヲ描ク計画ニツイテ話スト、ソノ誰カハ、ドコカノ美術館ニ話シテ、個展ヲ取リキメテシマウ。急イデ帰ッテ、相撲ノ絵ニ取リカカル〉夢。

チャーシュー麺というのは食べた記憶があまりないが、今日、桂花で思い切って注文してみる。ツユソバは担々麺か、フカヒレそばしか食べなかったが、チャーシュー麺がこんなに美味しいとは思わなかった。レパートリーに加えよう。帰りに鯛焼きを買って帰る。

山谷初男さんが亡くなった。一度だけお会いしたことがある。10年以上前だったと思う。東京駅で山谷さんから声を掛けられ、「昔、天井桟敷にいました。家が横尾さんの隣りです」。ギャーッと言うほどびっくりした。隣同士に住みながらちっとも知らなかった。「今から秋田に行きます」。芝居の公演かなとも思ったが死亡記事で秋田出身で秋田の病院で亡くなったとあった。

眉村卓さんともコピーライター時代に大阪で会った。2人共享年85歳だった。
2019.11.5
 銀座ggg(スリージーギャラリー)の北沢さんが近所に住んでいるので、和田誠君のことを書くので、ぼくの知らない和田君のことを聞きたいので来てもらう。ヘェー? びっくり。

150号2作目に取りかかる。
2019.11.6
 マリー・ラフォレ死す。デビュー当時からのファンで来日した時、映画館の客席から舞台の彼女の写真を撮ったことがある。彼女はこの日、舞台挨拶が予定されていたけれど、歯が痛くて一言もしゃべらないで、20秒ぐらいで引っ込んだ。

西村画廊の西村さん来訪。タマの絵の個展ができないかと下見に。現在70数点制作。

夜、おでんがネズミを獲って寝ているベッドの中に持ち込む。文章にならないほどのパニック‼ 部屋から出た気配ないままに、人と猫とネズミとのザコ寝。
2019.11.7
 神戸の美術館から、平林さん、林さんが次回と次々回展の打合せに。平林さんがエストニア土産にノートと蜂蜜とキャットフード。林さんは萩の濃縮夏蜜柑ジュースのお土産。

根本隆一郎さんが昭和31年発刊の『週刊朝日』にぼくの投稿カットが掲載されていることを知らせてくれた後、当時の『週刊朝日』の現物贈られる。20歳の時の作品(?)、まるで古代遺跡が発掘された感じだ。
2019.11.8
 滝沢直己さんが新作ブルゾンをプレゼントしてくれる。衣類は全て友人のデザイナー達のプレゼントでまかなっている。少し遅れて、上海帰りのカルティエ現代美術財団館長のエルベさん来訪。いつも「ここにくると日本って感じがする」と同じセリフを来る度に言う。上海の美術館の個展が21年4月17日か24日にオープンが決まっていると、こちらが知らないことを知る。中国はどんどん、要求しないとダメですよと教えてくれる。カルティエで個展した百数十人のアーティストの肖像画を描いたが、その後20人の追加を描くことになりそう。代官山 蔦屋書店で肖像画展をやりたいそうだ。
2019.11.9
 インフルエンザの流行が去年の5倍だそうだ。午前中、隣りの水野クリニックで予防接種を受ける。今日は汗をかくような運動をしないようにと言われるが、絵を描くと汗ビッショリになる。
2019.11.10
 150号制作中の作品に加筆するが、思うようには描けない。創造するというより、最初から破壊。画題が寒山拾得なんだから仕方ないだろう。絵は描きながら描くのではなく描きながら壊すのです。三途の川の童子と鬼の両方が画家の中に棲んでいる。

夜、昼間の祝賀御列の儀をビデオで観る。令和の絵巻物を錦絵風に描いたのが今観ているテレビなのか。(よこお・ただのり=美術家)
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