祗園の祇園祭 神々の先導者 宮本組の一か月 書評|澤木 政輝(平凡社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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読書人紙面掲載 書評
更新日:2019年11月23日 / 新聞掲載日:2019年11月22日(第3316号)

祗園の祇園祭 神々の先導者 宮本組の一か月 書評
祇園祭の「神髄」とは何か
「信仰心」が強いからこそ継承された神社と氏子による神事

祗園の祇園祭 神々の先導者 宮本組の一か月
著 者:澤木 政輝
出版社:平凡社
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 祇園祭といえば日本三大祭りの一つで、世界遺産にも登録されている、古都京都に鎮座の八坂神社で行われる大祭礼であることは言うまでもない。日本全国の神輿や山車の祭りのルーツとも言える祭礼である。その起源も古く、貞観十一年(八六九)と伝えられており、歴史ある祭礼が祇園祭であった。

今行われれている祇園祭は七月十七日の前祭と二十四日の後祭を中心に一ヶ月ほど行われるが、何と言っても、動く美術館とも称される煌びやかな山鉾の巡行、稚児の提灯行列、花傘はじめ幌武者や馬長稚児など華麗な行列が京都を練り歩く姿こそが、その象徴的な光景であろう。日本人ばかりか外国観光客をも魅了する山鉾などの華やかな行列に、誰もが「祇園祭こそ、日本の祭りだ」と思うことであろう。

日本が誇る京都の山鉾祭り、僕もそのような目で祇園祭を見ていた。さらにもっと言えば、世界遺産として世界的にも有名になり、京都府や京都市、京都の観光協会なども関与し、進行役として広告代理店も入って、完全に観光のためにイベントと化した祭礼と思っていた。

しかし、本書を読むとそれが間違いであったことがわかった。
作者・澤木正輝氏(奇しくも僕と同級生)は、祇園で生まれた八坂神社つまり祇園様の氏子で、さらにそのお膝元「お宮の本の氏子」たち「宮本組」にも名を連ねている。宮本組とは祇園祭の際、山鉾や花傘ではなく、神輿渡御の時に行列を先導し神宝を捧げ持ち供奉する役割を担っている人々である。

澤木氏が本書でまず述べたかったことは「神事の中心は神輿」ということであろう。神々がお乗りの神輿こそが祇園祭の中で最も重要であると聞けば、これに異議を唱える者は誰もいないであろう。しかし毎年メディアで報道される祇園祭は山鉾巡行ばかりで、日本全国の人々はそれを見て、京都を巡行する長刀鉾や大船鉾こそが祇園祭の主役と勘違いするだろう。僕もそうであった。

神輿が中心の祇園祭、それはどういうことなのか。

澤木氏いわく「祇園祭は観光行事ではなく、八坂神社と氏子による神事である」。そして宮本組のある祇園町は祇園社つまり八坂神社があったからこそ開かれ隆盛したのであり、祇園様のおかげであることを、著者は強調する。神様がいて氏子がおり、氏子が行う地元の祭り、それが澤木氏にとって祇園祭の本来の姿なのである。その主役は当然、黄金に輝く三基の神輿にお乗りなる神々であることはいうまでもなかろう。

祇園祭の真の姿は、京都だからではなく伝統的だからでもなく歴史が古いからでもなく、氏子の「信仰心」が強いからこそ、今現在まで継承され日本三大祭りの一つと称賛されているのである。

祇園祭に奉仕する氏子たちは、意外に忘れてしまいがちな「氏神あっての氏子」という神々への信仰心をもって、今もなお黙々と祖先から受け継いだ祇園祭に奉仕し続けているのである。

この本当の信仰心こそが、日本三大祭り・祇園祭のまさに「神髄」なのだろう。
この記事の中でご紹介した本
祗園の祇園祭 神々の先導者 宮本組の一か月/平凡社
祗園の祇園祭 神々の先導者 宮本組の一か月
著 者:澤木 政輝
出版社:平凡社
以下のオンライン書店でご購入できます
「祗園の祇園祭 神々の先導者 宮本組の一か月」出版社のホームページはこちら
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