世代を超えて伝えたい古典芸能のおもしろさ 「知っておきたい日本の古典芸能」(全5 巻、丸善出版)刊行を機に|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

読書人紙面掲載 特集
更新日:2019年11月29日 / 新聞掲載日:2019年11月29日(第3317号)

世代を超えて伝えたい古典芸能のおもしろさ
「知っておきたい日本の古典芸能」(全5 巻、丸善出版)刊行を機に

このエントリーをはてなブックマークに追加
丸善出版より「知っておきたい日本の古典芸能」シリーズが刊行された。ラインナップは「忠臣蔵」「浪曲・怪談」「落語」「歌舞伎」「講談」の全五巻。演目のタイトルは知っているけれど実は内容は知らない…、ということの多い古典芸能の作品について、本書では作品を楽しむためのポイントや時代背景をわかりやすく解説し、また用語集を付し、子供から大人まで古典芸能に親しみやすいよう工夫が為されている。今回は本シリーズの編著者・瀧口雅仁と落語家・隅田川馬石、浪曲師・港家小ゆきの三氏に、それぞれの立場から古典芸能の現在、そして未来を語ってもらった。  
第1回
寄席や演芸場には若いファンが増加中

瀧口 雅仁 氏
瀧口 
この度、丸善出版から「知っておきたい日本の古典芸能」シリーズを出しました。私は小学生の頃に図書室で「少年少女名作落語」シリーズや「子ども落語」を読んで落語に興味を持ち、好きになりました。最近では、学校寄席やテレビで落語が取り上げられたりしていますが、まだまだ古典芸能に馴染みのない子供も多いと思います。そこで小中学生に対して、落語をはじめ、古典芸能について知ってもらいたいと考えたのが企画の始まりです。

ここのところ落語ブームと言われていますが、演者の立場から見て、寄席や演芸場に若い世代が増えてきたと感じることはありますか?
馬石 
落語会は確実に若い女性ファンが増えましたね。
瀧口 
何がきっかけでしょうか。
馬石 
テレビ離れですかね。あとはライブで何かを見ることに興味を持つ人が増えてきたのかと。落語は聴く人がそれぞれに想像する芸ですし、そういう部分も人気が出る原因になっていると思います。私が演じる落語でも本来とは違った解釈をされて、聴いて楽しんでいる人が多いように感じます。
瀧口 
確かに想像する楽しさに魅了された人が増えているのかもしれませんね。浪曲はいかがですか?
小ゆき 
お客さんは増えています。私が弟子入りした時は、木馬亭(浪曲の定席)でも人気のお師匠さんが出る時以外は五人くらいで楽屋の方が多かった(笑)。今は二十人くらい入っていても少ないと贅沢を言うようになりましたね。男性ファンが多めのまま、若い層が増えてきている印象です。
瀧口 
昔から浪曲を聴いているのですが、若い人や初めての人には少しとっかかりにくいように感じるのですが。
小ゆき 
とっかかりにくいですね。
瀧口 
演者がそう言うんじゃ間違いない(笑)。若い世代だと国本武春さんがいたけれど亡くなってしまったでしょう。「うなりやベベン」として子供番組にも出て、浪曲を広めようとしていましたね。
馬石 
武春さんの一節を聴いてすごく感動したことがあります。僕も浪曲が好きで、時々聴きに行きましたよ。浪曲は一演目が長いですよね。
小ゆき 
基本は三十分くらいです。
馬石 
聴いている方も長いから流れについていくのが大変なように思います。でも長くないと一話を語れないでしょう?
小ゆき 
そうですね。節の種類を変えて、色々と技を見せようとすると三十分くらいはほしいですね。
瀧口 
私の小さい頃、昭和五十年代はテレビでも落語や演芸番組が多く、それを見て面白さにはまりました。演芸場に行けば落語の間に講談が入ったり浪曲が入ったりして総合的に楽しめる。それに歌舞伎を知っていれば、より落語も楽しめる部分もある。或いは落語で演じられるものが浪曲にもあったりする。同じ題材でも違った切り口があるから面白いと思うんです。

今回は「歌舞伎」「落語」「講談」「浪曲・怪談」「忠臣蔵」の五冊にまとめました。子供にも読みやすいようにあらすじや用語解説なども詳しく書いています。
馬石 
浪曲と講談は同じネタが多いように思うのですが。
小ゆき 
そもそも浪曲が講談からネタをパク……、いや、拝借しています(笑)。
瀧口 
浪曲は節の楽しさがありますよね。
小ゆき 
節と啖呵で聴かせる芸ですね。
瀧口 
小ゆきさんは元々ロックバンドをやっていたのに、なぜ浪曲をやろうと思ったんですか?
小ゆき 
私も不思議です(笑)。いろんな音楽をやったり聴いたりしていて、もっと自分の感情を乗せられるものがないかと探していたんです。それで日本の音楽をちゃんと聴こうと思ってふと木馬亭に入ったら、後に師匠になる五代目港家小柳に出会いました。

その第一声を聞いて、こんな音楽は世界に一つしかない! と思ったんです。
瀧口 
よく「ふと木馬亭に入った」と耳にすることがあるのですが、それは何なんでしょう(笑)。
小ゆき 
私の場合は浪曲を聞いてみようと思って調べたら、明日やっている。よし行こう! みたいな(笑)。
瀧口 
浪曲師になって、浪曲に向かうようになって楽しいですか?
小ゆき 
楽しいですね。高校まで声楽を習っていたのですが、苦しかった。浪曲はお客さんと一緒に作っている感じがして楽しんで演じています。

2 3 4 5
このエントリーをはてなブックマークに追加
読書人紙面掲載 特集のその他の記事
読書人紙面掲載 特集をもっと見る >
芸術・娯楽 > 芸能関連記事
芸能の関連記事をもっと見る >