角川三賞贈賞式|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年12月6日 / 新聞掲載日:2019年12月6日(第3318号)

角川三賞贈賞式

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左から滝川氏、月村氏、北見氏
角川三賞贈賞式が11月29日、東京・千代田区の東京會舘で行われた。第10回山田風太郎賞は月村了衛『欺す衆生』が受賞した。第39回横溝正史ミステリ&ホラー大賞は受賞作なし、優秀賞は北見崇史『出航』(北海銀改め、「血の配達屋さん」改題)、読者賞は滝川さり『お孵(かえ)り』に、第10回野生時代フロンティア文学賞は受賞作なしだった。山田風太郎賞について、京極夏彦氏が講評を述べた。「『欺す衆生』は綿密な取材と巧緻な構成で〝真面目〟に書かれた詐欺師の話です。罪を犯す人物を一人称に書くピカレスク小説という体で、読者は読んでいるうちに、反社会的行為に対しシンパシーを感じます。本作もまさにそうですが、特筆すべきは主人公が善人だということです。行為は悪ですが、一人称の視点軸は常に光の方を向いている。その捻じれた構造を面白く読ませるには大変な筆力が必要です。さらに主人公以外の登場人物が全て悪人です。こんな珍しい小説はない。しかしこれはリアリズムです。そしてとにかく面白い。他の候補作もどれも面白かったのですが、本作が頭一つ出て受賞となりました」

続いて横溝正史ミステリ&ホラー大賞について、綾辻行人氏が選考経過を述べた。今年から二つの賞が統合された本賞。「自ずと選考のハードルが上がりました。北見さんの『出航』は、日本ホラー小説大賞だったら大賞に押せたと思います。ミステリ味の低い作品です。往年の『ガロ』の漫画を読んでいるような陰鬱さで始まりますが、読み進むとどんどん妙な世界に連れていかれ、ここまで酷い目に遭うかというぐらい陰惨なのに、どこか諧謔味があって、それに乗ると楽しくて仕方がなくなります。そしてとんでもない結末を迎えるのですが、僕は思わず快哉を叫びました。概ね他の選考委員からも、これは他にない小説、力がある小説だと賛同があり、優秀賞となりました。滝川さんの作品も特に序盤、文章も上手で読ませるのですが、選考会で不備が指摘され受賞には至りませんでした。書店員の投票による読者賞の作家は、その後売れることが多い。頑張ってください」。(※読書人ウェブにロングバージョンを掲載)
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