東電刑事裁判の判決の誤りを徹底批判する 海渡雄一弁護士(東電刑事裁判被害者代理人)インタビュー(聞き手=佐藤嘉幸)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

読書人紙面掲載 特集
更新日:2019年12月12日 / 新聞掲載日:2019年12月6日(第3318号)

東電刑事裁判の判決の誤りを徹底批判する
海渡雄一弁護士(東電刑事裁判被害者代理人)インタビュー(聞き手=佐藤嘉幸)

このエントリーをはてなブックマークに追加
第6回
控訴審の見通しについて

佐藤  
判決に関する論点は大体お伺いしましたので、控訴審の見通しについて、最後にお聞かせ下さい。
海渡  
指定弁護士が九月三〇日に控訴されていますが、事件記録は東京地裁にあり、まだ東京高裁のどの部に継続するかもわからない状態です(このインタビュー後、判決の全文は一一月の上旬にできて、当事者に交付されました)。事件が高裁に移ると、判決を検討して控訴趣意書を作る作業に入ります。これには数カ月はかかると思います。その期間に判決文の全文に則して、私たちも被害者意見書を作ってみようと思っています。
高裁審理のポイントはいくつかありますけれども、やっぱり現場検証を正確にやってもらう必要がある。現地の状況を見てもらい、現場が台地を掘り下げた構造であり、津波に脆弱であることとともに、帰還困難区域や双葉病院が今どうなっているかをきちんと受け止めてもらって、この事故の悲惨な実態を理解してほしい。
長期評価の信頼性については、島崎邦彦先生や都司嘉宣先生、内閣府の担当だった前田憲二さんら何人もが証言して下さっています。審査の委員だった別の方々の追加の証言をお願いするという手段もあります。そして、長期評価の信頼性について、この判決がどういうふうに誤っているかを立証していく。
山下調書の信用性が認められなかったことも決定的に重要です。また、メールや議事メモ等に基づいて、御前会議に出ていた人たちの中から、一審に出てこられなかった人たちの証言を得ることも考えられます。
もう一つ考えていることがあります。もし津波対策が始まっていたとしたら、地元の自治体は原子炉の停止を求めていたはずだ、と双葉町の町長だった井戸川克隆さんが公言されています。井戸川さんに証言してもらうことも可能ではないか。
いずれにしても、最も重要なのは、高裁の第一回の期日です。この日に高裁で証拠調べをきちんとやるかどうかが決まる。一回で結審して、次は判決という可能性すらあります。だから東京高裁における第一回期日が決定的に重要な局面になります。早くて年度内、もう少し先にずれこむかもしれません。その時までに世論を盛り上げる。そして多くの人に裁判所前に集まってもらうよう取り組んでいきたい。そのために、河合弘之弁護士が監督し、私が監修を担当して、『東電刑事裁判 動かぬ証拠と福島原発事故』、その判決対応版『東電刑事裁判 不当判決』という映画も作りました(以下で視聴可能。https://www.youtube.com/watch?v=ZJhyDSnutqk https://www.youtube.com/watch?time_continue=2&v=VY-iMQsxkNU&feature=emb_logo)。
はっきりと個人的な責任を問える人がここにいて、その人たちが起訴されているわけです。有罪判決を出させていくことで、事故の再発防止にも繋がる。原発事故によって非常に辛い思いをしている福島県民の皆さんにとっても、この裁判は次のステップに進むための大きなエポックになると思います。
私はこの事件に、告訴の段階から関わってきています。これだけの証拠を検事が集めているとは、最初思いませんでした。ある意味で、起訴できるだけの証拠固めをしてくれていた。最終的には政治的な圧力があったせいなのかもしれませんが、不起訴になってしまった(その後、検察審査会の議決によって強制起訴された)。ただし、検事たちはすごく真剣に捜査をし、事実を明らかにするための準備作業をしてくれていた。それがなぜ裁判所に伝わらなかったのか。我々が告訴したのですが、捜査には百人単位の検事が動いていたと思います。そういう人たちがこれだけの証拠を集めてくれた。その事実の重みを裁判所はまったく理解できなかった。そのことは非常に驚きだし、残念です。だからこそ、裁判に関わった弁護士として、明らかになっている証拠を、極力社会に知らしめていく責任があると思い、一所懸命がんばっているところです。どうかご支援いただければと思います。
(二〇一九年一〇月一四日、東京共同法律事務所にて)
1 2 3 4 5
このエントリーをはてなブックマークに追加
佐藤 嘉幸 氏の関連記事
読書人紙面掲載 特集のその他の記事
読書人紙面掲載 特集をもっと見る >
科学・技術 > 原子力関連記事
原子力の関連記事をもっと見る >