明君の時代 十八世紀中期~十九世紀の藩主と藩政 書評|浪川 健治(清文堂出版)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

  1. 読書人トップ
  2. 書評
  3. 読書人紙面掲載 書評
  4. 歴史・地理
  5. 東洋史
  6. 明君の時代 十八世紀中期~十九世紀の藩主と藩政の書評
読書人紙面掲載 書評
更新日:2019年12月26日 / 新聞掲載日:2019年12月20日(第3320号)

明君の時代 十八世紀中期~十九世紀の藩主と藩政 書評
「人」を中心に据えた研究
『明君の時代』『論集 大奥人物研究』『池田綱政』『徳川斉昭』

明君の時代 十八世紀中期~十九世紀の藩主と藩政
著 者:浪川 健治
出版社:清文堂出版
このエントリーをはてなブックマークに追加
今年は、「人」を中心に据えた研究の成果が、目立つ年だったのではないだろうか。まず、浪川健治編『明君の時代―十八世紀中期~十九世紀の藩主と藩政』(清文堂出版)が挙げられる。本書では、「明君」を「明智の君として政治支配という枠にとどまらないで、知的あるいは文化的な広がりの中核としても、今日にも意識され影響を及ぼす存在」とし、その多様な存在形態と人間的な実像との対比に着目している。八編の論考から成り、具体的には、Ⅰ部で弘前藩第八代藩主津軽信明を、Ⅱ部では松浦静山・松平定信・三宅康直を取り上げる。特に津軽家文書「在国日記」の分析から浮かび上がる、信明の姿が興味深い。

また、竹内誠・深井雅海・松尾美惠子・藤田英昭編『論集 大奥人物研究』(東京堂出版)も注目される。本書には、確かな史料の分析から、江戸城大奥や武家社会の奥に生きた女性たちの真の姿を、「妻としての役割」「政治に生きた女性」「女性の著作と教養」「数奇な運命に生きた女性」「大奥女性の心の支え」という多様な切り口から明らかにした15編の論考が所収されている。また、本書の末尾には、明治25年から現在に至るまでの大奥関係の主要文献一覧が掲載されており、大奥の研究史を知り、今後の研究の発展に向けて、大変意義深いものである。

他には、倉地克直『池田綱政―元禄時代を生きた岡山藩主』(吉川弘文館)、永井博『徳川斉昭―不確実な時代に生きて』(山川出版社)、一坂太郎『久坂玄瑞―志気凡ならず、何卒大成致せかし』(ミネルヴァ書房)などが出された。

外交の分野では、清水紘一編『江戸幕府と長崎政事』(岩田書院)、風説書研究会編『青山学院大学総合研究所叢書 オランダ別段風説書集成』(吉川弘文館)、片桐一男『カピタン最後の江戸参府と阿蘭陀宿―歩く、異文化交流の体現者』(勉誠出版)などが挙げられる。

幕府政治や、藩・地域社会をテーマとしたものには、幕藩研究会編『論集 近代国家と幕府・藩』(岩田書院)がある。大名や幕藩関係、幕府の役職や制度、大奥、藩における献上や贈与、藩政改革、大名の交遊、災害など、多彩な14編の実証研究を読むことができる。ほかに、藤谷彰『近世大名家臣団と知行制の研究』(清文堂出版)、村田路人『近世畿内近国支配論』、白川部達夫『近世の村と民衆運動』(以上、塙書房)、水本邦彦『海辺を行き交うお触れ書き―浦触の語る徳川情報網』(吉川弘文館)がある。

思想・宗教については、田中洋平『近世地方寺院経営史の研究』、菅原征子『近世の女性と仏教』(以上、吉川弘文館)、西田かほる『近世甲斐国社家組織の研究』、高埜利彦『江戸時代の神社』(以上、山川出版社)が出された。

また、新書では、三鬼清一郎『大御所徳川家康―幕藩体制はいかに確立したか』(中央公論新社)、夏目琢史『江戸の終活―遺言からみる庶民の日本史』(光文社)などが挙げられる。(ふくとめ・まき=東京工業大学准教授・日本近世史)
この記事の中でご紹介した本
明君の時代 十八世紀中期~十九世紀の藩主と藩政/清文堂出版
明君の時代 十八世紀中期~十九世紀の藩主と藩政
著 者:浪川 健治
出版社:清文堂出版
以下のオンライン書店でご購入できます
「明君の時代 十八世紀中期~十九世紀の藩主と藩政」出版社のホームページはこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加
福留 真紀 氏の関連記事
読書人紙面掲載 書評のその他の記事
読書人紙面掲載 書評をもっと見る >
歴史・地理 > 東洋史関連記事
東洋史の関連記事をもっと見る >