牧原憲夫著作選集 上巻 明治期の民権と民衆 書評|牧原 憲夫(有志舎 )|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2019年12月26日 / 新聞掲載日:2019年12月20日(第3320号)

牧原憲夫著作選集 上巻 明治期の民権と民衆 書評
歴史学を研究する ものの座標軸として

牧原憲夫著作選集 上巻 明治期の民権と民衆
著 者:牧原 憲夫
出版社:有志舎
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亡くなった歴史家の「模索の軌跡」が著作選集として残され、わたしたち歴史学を研究するものの座標軸となった(牧原憲夫著、藤野裕子、戸邉秀明編『牧原憲夫著作選集』上下巻、有志舎)。

わたしたちは多くのばあい、わたしたちがいなかった過去を歴史としてあらわす。だから、「非体験」や「経験」の語を鍵として(吉浜忍ほか編『沖縄戦を知る事典―非体験世代が語り継ぐ』吉川弘文館、冨永悠介『〈あいだ〉に生きる―ある沖縄女性をめぐる経験の歴史学』大阪大学出版会)、その手法や構えや思索を問い、それが歴史学の軌跡の現在を示している(南塚信吾ほか編『歴史的に考えるとはどういうことか』ミネルヴァ書房、藤原辰史編『歴史書の愉悦』ナカニシヤ出版、菅豊ほか編『パブリック・ヒストリー入門―開かれた歴史学への挑戦』勉誠出版)。

昨二〇一八年に始まった二つのシリーズの刊行が今年もまた続き、それらがまた、歴史学の歴史をしかとふまえて歴史を描いている(「シリーズ日本の中の世界史」岩波書店――小谷汪之『中島敦の朝鮮と南洋―二つの植民地体験』、久保亨『日本で生まれた中国国歌―「義勇軍行進曲」の時代』、油井大三郎『平和を我らに―越境するベトナム反戦の声』、池田忍『手仕事の帝国日本―民芸・手芸・農民美術の時代』、吉見義明『買春する帝国―日本軍「慰安婦」問題の基底』。「歴史総合パートナーズ」清水書院――胎中千鶴『あなたとともに知る台湾―近現代の歴史と社会』、小川輝光『3・11後の水俣/MINAMATA』、大澤広晃『帝国主義を歴史する』、渡部竜也『Doing History:歴史で私たちは何ができるか?』)。

わたしたちはハンセン病者のなかのだれを歴史に記してきたのかと問えば、書かれてこなかったものたちの跡がたどられる(金貴粉『在日朝鮮人とハンセン病』クレイン)。戦争や災害の跡にふれ、そこをたずね、それを問い(大石芳野『長崎の痕―大石芳野写真集』藤原書店、石原俊『硫黄島―国策に翻弄された130年』中央公論新社、水出幸輝『〈災後〉の記憶史―メディアにみる関東大震災・伊勢湾台風』人文書院)、さらにそれをわたしたちがいなくなるその先へとおくる(歴史学研究会編『歴史を未来につなぐ―「3・11からの歴史学」の射程』東京大学出版会)。

一五〇年という時間の区切りがかつての「維新」から数えられ、そのことを問う著作が昨年末に刊行された(日本史研究会ほか編『創られた明治、創られる明治―「明治150年」が問いかけるもの』岩波書店、’18年、小路田泰直ほか編『明治維新とは何か?』東京堂出版、同前、宮地正人『幕末維新像の新展開―明治維新とは何であったか』花伝社、同前)。

かねてより宣言されていた後期高齢者の引退によっても、時間の区切りが設けられてしまった(ケネス・ルオフ/木村剛久訳『天皇と日本人―ハーバード大学講義でみる「平成」と改元』、朝日新聞出版、吉見俊哉編『平成史講義』(筑摩書房)、同著『平成時代』岩波書店、原武史『平成の終焉―退位と天皇・皇后』同前、保坂正康『平成史』平凡社)。

わたしたちが本を手にする場所にも歴史があり、そこがまたわたしたちの歴史をつくる手がかりを報せる(嶋田学『図書館・まち育てデモクラシー―瀬戸内市民図書館で考えたこと』青弓社、青木真兵ほか『彼岸の図書館―ぼくたちの「移住」のかたち』夕書房)。(あべ・やすなり=滋賀大学教員・近代日本社会史)
この記事の中でご紹介した本
牧原憲夫著作選集 上巻 明治期の民権と民衆/有志舎
牧原憲夫著作選集 上巻 明治期の民権と民衆
著 者:牧原 憲夫
出版社:有志舎
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