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更新日:2019年12月27日 / 新聞掲載日:2020年1月3日(第3321号)

角川三賞 贈呈式開催

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前列左二人目より、城山三郎賞の佐々木氏、角川財団学芸賞の野崎氏、角川源義賞の横田氏、古井戸氏


十二月十二日、都内にて第四一回角川源義賞、第十七回角川財団学芸賞、第六回城山三郎賞の贈呈式が行われた。

角川源義賞は、文学研究部門に古井戸秀夫著『評伝 鶴屋南北』(白水社)、歴史研究部門は横田冬彦著『日本近世書物文化史の研究』(岩波書店)、角川財団学芸賞には野崎歓著『水の匂いがするようだ 井伏鱒二のほうへ』(集英社)、城山三郎賞は佐々木実著『資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界』(講談社)に贈られた。各賞の贈賞と選評の後、最初に登壇した古井戸氏は、一五〇〇頁を超える評伝が重版となったことにお礼を述べた。
「最近ようやく読み終わった、やっと後半に入った、好きなところを拾い読みしているという声を幾つもいただいた。一般の読者の方が読んでくださるのは、とても嬉しい。作者の手元を離れ、一人歩きを始めた本に負けないよう、私も新しい課題に取り組んでいきたい」。

横田氏は、「読解力とは、取り込んだ情報を咀嚼し読みこなすこと」だと語り、「私は、江戸時代の一般人の読解力を調査している。当時の人々がどのように本を読み、どんな思想を展開したのか。そこに焦点をあて分析した。現代の読書の問題にも提供できるものがあると感じている。今回の賞を励みにさらに研究を進めていきたい」と抱負を述べた。

フランス近現代文学の研究者である野崎氏は、井伏鱒二の作品を研究したことについて「文学のすばらしさに国境はない」と振り返りつ、次のように語った。「井伏鱒二の作品世界が、どれほど豊かなテーマを持っているか、素晴らしい表現に満ちているかを、楽しみたい一心で書いた。こんなに面白い作家がほとんど忘れられている現状へのやるせなさ。そんな状況に小さな一石を投じることができたとすれば、非常に嬉しく思う」。

佐々木氏は、第一回受賞者の中村哲氏の冥福を祈り、宇沢弘文と中村氏の共通点を述べた。「宇沢と中村さんは、世界に発信できる日本人の思想をつむいだ点で共通性がある。宇沢は多くの業績を残した世界的経済学者だが、彼が提唱した社会的共通資本という独自の概念は評価しにくいと忌避されている。この本が宇沢の再評価のきっかけになればと願っている」。
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