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更新日:2019年12月27日 / 新聞掲載日:2020年1月3日(第3321号)

野間四賞 贈呈式開催

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左より、野間出版文化賞の白石氏、相田氏、須田氏、東野氏、新海氏。野間文芸賞の松浦氏、野間文芸新人賞の古谷田氏、千葉氏。野間児童文芸賞の戸森氏

白石麻衣氏
二〇一九年十二月十七日、野間四賞の贈呈式が都内で開催された。式は二部制で行なわれ、第一部で第七二回野間文芸賞の松浦寿輝氏(『人外』講談社)、第四一回野間文芸新人賞の古谷田奈月氏(『神前酔狂宴』河出書房新社)、千葉雅也氏(『デッドライン』新潮社)、第五七回野間児童文芸賞の戸森しるこ氏(『ゆかいな床井くん』講談社)、第二部で野間出版文化賞の新海誠氏、東野圭吾氏、『なかよし』(講談社)編集長・須田淑子氏/『りぼん』(集英社)編集長・相田聡一氏、同特別賞の白石麻衣氏・生田絵梨花氏(当日は欠席)へ賞が贈呈された。第一部の受賞者スピーチから一部掲載する。
松浦寿輝氏
野間文芸賞の松浦氏は、作家の故・河野多惠子さんとの本の題名をめぐるエピソードから、「あるとき突然河野さんが「松浦さん小説っていうのは否定的なタイトルをつけちゃだめなのよ」と仰った。その後「不可能」という小説を出す際に(ネガティブなタイトルで)申し訳ございませんというお手紙を書いたところ、数週間経って真夜中に突然電話で、「松浦さん『不可能』は傑作よ!」と、小説の核心を一挙に掴み取るような鋭い批評をしてくださった。タイトルのことは『何のこと?』ともう忘れていらしたようだった(笑)」と語り、「今回の『人外(にんがい)』を河野さんに読んでいただけないことを残念に思う。タイトルは否定的だが生きることに対するオプティミスティックな思い、生命の愛おしさみたいなものを籠めた。今度は肯定的なタイトルの小説を一作、力一杯取り組んでみたい」と力強く語った。
古谷田奈月氏
野間文芸新人賞の古谷田氏は、本作のテーマの一つ「結婚」について、「結婚は本当におめでたいものなのか、というそもそもの疑問が昔からあった」と述べ、「友人が結婚したことを知り、自然におめでとうと言ったら『祝ってもらうようなことでもないと思っている』と言われたときに、結婚=おめでたいと反射的に動いてしまった事が自分的に恥ずかしかった。そういう感覚はこの文学賞に対しても少しだけある。読書の経験というものは読者一人と作品の間にかけがえのない関係が無数にあり、その一つひとつの関係に価値がある。自分の作品を読んでくれた人と作品との関係が末永く幸せに続いていってほしい」と語った。
千葉雅也氏
同賞の千葉氏は、「これだけの長さの小説作品を書き切ったのは初めての経験。ここ数年、日々書くことについて考えていて、その結果として小説に流れ着いた。それを手助けしてくれた一人の書き手はベケットで、自分の韻文的な拘りから散文への梯になった。小説の舞台は自分がかつて過ごした東京だが、その時代そのトポスについて書きたいという自分にとっての必然性がないと書けないと思った。本作は時間についての小説で、ある時間を復活させたいと願ったときに書き始め、そのためにはフィクションが必要だった。ある時間をフィクションを通して復活させるということが今回の一つの試み。今後は研究との両輪で、ジャンルに拘らず広く書きものとしかいいようのないものを書いていきたい」と述べた。

野間児童文学賞の戸森氏はペンネームの由来を語り、「受賞作は私が「しるこ」と呼ばれていた特に印象的で思い出深い小学校五、六年生のときのクラスの雰囲気を思い描いた。楽しく読んでもらう事を第一に、読み終えたときにそれぞれの心に何かが残っているように祈りながら書いた作品。デビュー四年目の今年、大きな試練を経験したが、奇跡のようなタイミングで受賞の連絡をいただき、、前に進むきっかけになった。ここから「戸森しるこ」の第二章が始まる気持ちで頑張っていきたい」と受賞の喜びをあらわした。
この記事の中でご紹介した本
神前酔狂宴/河出書房新社
神前酔狂宴
著 者:古谷田 奈月
出版社:河出書房新社
以下のオンライン書店でご購入できます
「神前酔狂宴」出版社のホームページはこちら
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