李琴峰さんが新書を買う 東京堂書店神田神保町店にて|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

読書人紙面掲載 特集
更新日:2020年1月1日 / 新聞掲載日:2020年1月3日(第3321号)

李琴峰さんが新書を買う
東京堂書店神田神保町店にて

このエントリーをはてなブックマークに追加
李 琴峰さん
令和初の「新書を買う」企画にご登場いただいたのは、作家・翻訳家の李琴峰さん。
台湾生まれの李さんは、二十三歳のとき来日し、大学院修了後、日本の民間企業に就職。二〇一七年に『独り舞』(講談社)で群像新人文学賞優秀作を受賞し、作家としてデビューした。
二〇一九年、『五つ数えれば三日月が』(文藝春秋)で芥川賞・野間文芸新人賞のダブル候補となった。

寒さが厳しさを増す冬の夕暮れ時、「コンセプトは、歴史や哲学、宗教、経済学、国際社会が抱える問題など、現代を生きる人間としてあるべき知識と教養を仕入れる」と語る李さんに、東京堂書店神田神保町店にて選書していただいた。     
(編集部)
第1回
歴史・哲学・宗教

◎玉木俊明『人に話したくなる世界史』(八八〇円・文春新書)
中高生の頃、世界史がとても苦手でした。私は台湾出身なので、大学時代まで台湾で過ごしています。当然ですが、台湾には日本語のようなカタカナが存在しません。そのため、国や地域の名前などもすべて、漢字で覚えなければならなかった。漢字には同じ発音の字が多く、表記揺れがあったりするので、何がなんだか、だんだん分からなくなってくるんです。それに、今はどうなのか分かりませんが、あの頃の台湾の世界史教育はあまり完全でなかった気もします。例えば日本の歴史は、教科書に初登場する時いきなり明治維新なんですね。背景がよく分からないから、覚えにくかったんです。それでも、学生の頃の最終目的は試験で良い成績をとることなので、ひたすら暗記していました。結局は一時的な知識にしかならず、せっかく覚えたことも今ではほとんど忘れてしまっています。もう一度、世界史をしっかり勉強し直したくて選びました。

◎リットン・ストレイチイ『ヴィクトリア女王』(小川和夫訳)(一六〇〇円・冨山房百科文庫)
ヴィクトリア女王は、その治世が「ヴィクトリア朝」と称されるほど、とても有名な女性です。以前、シドニーに行った際に、ヴィクトリア女王の銅像を見かけたことがあります。ですが、最初に言った通り、私は世界史が苦手だった。恥ずかしながら、彼女についてほとんど何も知らないんです。オーストラリアはかつてイギリスの植民地だった時代があった。だから、女王の像があるのだろう、くらいしか推測できない。彼女がどういう人で、どのようにイギリスや植民地を治めたのか。この本で学びたいと思います。

◎倉田剛『日常世界を哲学する 存在論からのアプローチ』(八〇〇円・光文社新書)
大学から大学院時代は、主に言語学や中国文学、日本文学を専攻していました。文学は哲学と近い学問なので、孔子や老子、荘子といった中国思想は授業でも習っています。けれど、西洋哲学は論理学を除いて、詳しく学ぶ機会がありませんでした。

最近になって、「存在論」などに興味を持つようになり、大学の配信講義で西洋哲学の勉強を始めました。例えば、「水槽の脳」と呼ばれる哲学の仮説があります。「この世界は、水槽に浮かんだ脳が見ている夢ではないか」と考える。私たちは、自分が今「ここにいる」と思っているけれど、「人間として本当に存在している」のか。哲学は難しい学問ではなく、こういった当たり前の物事を疑うことから出発するのだと思います。タイトルの「日常世界を哲学する」が、まさにそのことを言っている気がするので、読んでみたくなりました。

◎小原克博『一神教とは何か キリスト教、ユダヤ教、イスラームを知るために』(八二〇円・平凡社新書)
私自身は無宗教だし、宗教についてしっかり勉強する機会もなかったのですが、実は以前から、一神教に関心がありました。最近発表した中篇小説「星月夜」(「すばる」12月号)の中にも、イスラム教が登場します。キリスト教、イスラム教はその系譜を紐解くと、ユダヤ教にたどり着きますよね。二つともユダヤ教から派生した宗教で、神話や経典などもかなり重なる部分があります。にもかかわらず、なぜ現在のように対立しているのか。それぞれの思想や歴史が一体どういう変遷を辿り、今に至ったのか。これを機に、読み解いてみたいと思います。
2 3 4 5
この記事の中でご紹介した本
このエントリーをはてなブックマークに追加
李 琴峰 氏の関連記事
読書人紙面掲載 特集のその他の記事
読書人紙面掲載 特集をもっと見る >
文化・サブカル > 読書関連記事
読書の関連記事をもっと見る >