言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか / 7606(集英社)自分がずっとウケていたい  難しいことを考えず、心の底から笑ってほしい|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2020年1月2日 / 新聞掲載日:2020年1月3日(第3321号)

自分がずっとウケていたい
難しいことを考えず、心の底から笑ってほしい

言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか
著 者:塙 宣之
出版社:集英社
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 どうしたら人を笑わせることができるか、小さい頃からずっと考えていました。取材で訊かれたら答えたり、ラジオ番組でもときどき話したりしていましたが、40年近くずっと考え続けていたので、どこかでアウトプットしないと脳が完全に容量オーバーだったのだと思います。そんな折に集英社新書プラスというウェブサイトから「関東芸人というテーマでM-1について話してくれないか」という依頼があり、「誰が読むんだろう」と訝しみながら中村計さんの質問にお答えしたのでした。

ウェブ記事の反響は思いのほか大きく、芸人仲間や業界関係者のあいだでも随分話題になったみたいです。出版社からは、記事が公開されて割とすぐに「一冊の本にしたい」というオファーがありました。その年の末にはM-1審査員に選ばれるという出来事もありましたが、それでもまだ僕は「本一冊なんて、そんなに長いもので読みたい人がいるのかな」と半信半疑でいたのです。実際、家族からも「それ、誰が読むの?」と言われて「そうだよなぁ」と納得したりもしました。

なので、10万部も売れたと聞いてM-1という大会の奥深さに改めて触れたような気がしています。芸人であるぼくらにとってM-1は、高校球児にとっての甲子園みたいな夢の舞台でした。だからこそ、緊張して実力が出せなかったり、ウケなくて打ちひしがれたりするのですが、きっとお客さんもそんな気持ちを感じて、ある意味で真剣に観てくれていたのではないでしょうか。ぼくらと同じように、ネタの出来を固唾を飲んで見守って、審査員の言葉に一喜一憂してくれていたのだと思います。そんな方たちが、本のテーマに興味を持ってくれた結果が、こうした反響に繋がっているのかもしれません。

この本は、関東芸人へのエールみたいな形で締め括られていますが、本音を言えば後輩たちよりも誰よりも自分がずっとウケていたいと思っています。そのなかで、たとえばこの本でテーマにした「関西芸人はしゃべくり漫才に強い」という話もそうですが、どの芸人にも得意不得意があって、ぼくも自分の強みを活かしてずっとウケているためにはどうすればいいか、考え続けた軌跡がこの『言い訳』です。

本を出版してから、ナイツ独演会で全国を周っていると「本では大層なことを書いていた塙というヤツの漫才を、見てやろうじゃないか。お手並み拝見」といった感じで、腕組みしてみているようなお客さんが少しだけ増えたような気がしています。でも、そうなると笑えたはずのネタも笑いづらくなってしまう。あんまり厳しいことや難しいことを考えずに、リラックスして観てほしいです。

みなさん、新しい年にもなりましたし、本がヒットしたことは一回、忘れませんか? フレッシュな気持ちでM-1やナイツの漫才を観て、心の底から笑ったあとにもう一度、ふと思い出してこの本を読んでくれたら、またちょっと違った景色が見えるかもしれません。
この記事の中でご紹介した本
言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか/集英社
言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか
著 者:塙 宣之
出版社:集英社
以下のオンライン書店でご購入できます
「言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか」出版社のホームページはこちら
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