兵器を買わされる日本 / (https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166612444)「買わされているのか、アメリカに」 税の流れる先に利権や既得権はある|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2020年1月4日 / 新聞掲載日:2020年1月3日(第3321号)

「買わされているのか、アメリカに」 税の流れる先に利権や既得権はある

兵器を買わされる日本
編 集:東京新聞社会部
出版社:https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166612444
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 「税の流れる先に利権や既得権はある」。本書のベースになった東京新聞(中日新聞東京本社)の調査報道「税を追う」は、そんな想定が出発点になっています。税金の使われ方や支出先を調べ、政策の必要性や税の無駄をチェックする。その上で、税金が政治家や天下りの官僚OBらに還流していないかを掘り下げていきます。

社会部に五人の記者による取材班が立ち上がったのは二〇一八年夏。それぞれ取材したいテーマを持ち寄った結果、第一弾のテーマは第二次安倍政権になってから過去最大を更新し続ける防衛費にしました。

調査報道には二つのパターンがあります。一つは記者がつかんだ情報や新聞社に寄せられた内部告発を端緒に、自分たちで調べて裏付けてゆくやり方です。オーソドックスな「始めにネタありき」型です。

もう一つは情報や端緒がなくても気になるテーマを掘り下げてゆく手法です。「あそこにはきっとネタが隠れている」とみて取材を進めるもので、「税を追う」もそうです。

防衛費増大の理由として政府は北朝鮮のミサイル開発や中国の軍拡を挙げていました。でも、「だからといって日本も急激な軍拡に舵を切っていいのか」という疑問がありました。

F35戦闘機や迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」のように、アメリカ生まれの兵器が急に増えたことも、頭に引っかかっていました。そこで防衛費の流れを追うと、いろいろなことが分かりました。

日本が米国から高額兵器をどんどん輸入するようになり、毎年のローン返済が追いつかず、防衛費の借金が五兆円を超えて急増している▽官邸や国家安全保障局(NSS)が兵器調達に大きな力を持ち、専守防衛の観点から以前の政権では持ち得なかった攻撃型兵器の導入が進んでいる▽兵器の輸入拡大の裏に得意のディール(取引)や圧力を駆使するトランプ米大統領の存在がある――。

「日本は同盟国最大のF35保有国になる」。武器商人さながらに、トランプ氏は日本が兵器を大量購入することを喜んでいます。日本から毎年数千億円もの税金が流れ込むのですから当然です。毎年増える日本の防衛費は今や米国防衛企業の格好のターゲットです。

「政府は常に、トランプに何らかの手土産を持たせないと、何を言ってくるか分からないと考えている」

「トランプ政権が自動車関税の引き上げもあり得ると打ち出して以降、『自動車の関税を上げさせない』は安倍政権の至上命令となった。兵器購入を含めて米国にアピールするのはマスト(必須)だ」

政府部内からこの二つの証言を得たとき、取材班のメンバーは確信しました。「買わされているのか、アメリカに」。

分断や格差が広がる社会で、税は人々の暮らしや子どもの未来をよくするために使われるべきです。私たちが税を追い、記事を書く理由はそこにあります。
この記事の中でご紹介した本
兵器を買わされる日本/https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166612444
兵器を買わされる日本
編 集:東京新聞社会部
出版社:https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166612444
以下のオンライン書店でご購入できます
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