半自伝的エッセイ 廃人|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2020年1月25日 / 新聞掲載日:2020年1月24日(第3324号)

半自伝的エッセイ 廃人

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廃人(北大路 翼)春陽堂書店
廃人
北大路 翼
春陽堂書店
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 歌舞伎町を根城にする俳句集団「屍派」家元の俳句とエッセイ。過去を振り返り「今」を切り取ろうと試みる。

「アウトロー」をテーマに書かれた一つ目のエッセイには、「僕が歌舞伎町に魅かれるのは、人間が飾らないからだ。チンピラはチンピラとして、変態は変態として堂堂と生きている」「自分のルールに忠実なだけである」。そして、「俳句だって、有季定型というルールがあるから面白いんだ。こんな大きな世の中のできごとをたった十七文字で描こうというのだからむちゃくちゃじゃないか」とある。
競艇を知らないころのお年玉
おっぱいを出せる暖房効いてゐる

競艇、オッパブ、パチンコ、競馬、任侠、頭から血を流して倒れていた…など、タイトルの「廃人」を裏切らない話が続く。しかし、俳句にここまで俗な単語を投入しながら、有季定型が保つ情緒がある。日々のなかに「俳句」というルールがあって、一瞬の「今」がただ流れずに、立ち現れている。
炬燵から出ずに鼻毛を抜くばかり

この日常の景もまた、ただの通俗な、怠惰な姿のようで、その姿を見つめる自身の眼によって、アンニュイが「生」の一断面として、切り出される。憂う気持ちと安穏とが同居するような、言葉になり難いが、多くの人が感じたことのある一瞬の感情が表れている。
手に受けし精子あたたか冬の夜

誰にでも作れる句ではない。
おしぼりの山のおしぼり凍てにけり

この瞬間も、なかなか目に心に、とめることができないのではないか。
冷奴箸を汚さず崩しけり

グラビア、自選二十三句(書)、俳句とエッセイ、俳句の技巧解説が並ぶ。
この記事の中でご紹介した本
廃人/春陽堂書店
廃人
著 者:北大路 翼
出版社:春陽堂書店
「廃人」は以下からご購入できます
「廃人」出版社のホームページはこちら
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