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更新日:2020年1月31日 / 新聞掲載日:2020年1月31日(第3325号)

第一六二回芥川賞・直木賞決定

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㊧直木賞の川越宗一氏、㊨芥川賞の古川真人氏
一月十五日、都内にて第一六二回芥川龍之介賞および直木三十五賞の受賞作が発表された。芥川賞は古川真人「背高泡立草」(すばる十月号)、直木賞は川越宗一『熱源』(文藝春秋)にそれぞれ決定した。

芥川賞選考委員である島田雅彦氏は、会見で次のように語った。

「かなり厳しい評価が多く、受賞作なしの気配が漂う重苦しい中で選考が行われました。古川さんは四度目の候補で、多くの選考委員が彼の作風を把握していました。平戸と思しき場所を舞台としたサーガ的広がりを持つ作品群の一つですが、単調な草刈作業の合間に、時空を超えたエピソードを織り込んだことで、土地の歴史的、時間的な複層性がたくみに掬いあげられていた。選考会でも、「サーガの一環ではあるが、スピンオフ的である」という意見が出ました。これまでの古川さんの作品と、かなり毛色が変わった点が評価につながったと思います」。

直木賞選考委員の浅田次郎氏は、以下のように講評した。

「初ノミネートの方が多く、混戦が予想されましたが、川越さんが一歩抜きん出ての受賞となりました。登場人物を活き活きと魅力的に描きながら、難しい資料を駆使し、近年まれに見る大きなスケールで小説世界を築き上げている。オーソドックスな構えを持った、小説らしい小説でありながら、アイヌ民族という少数民族であるが故の苦悩、絶望感がいい按配で、ストーリーを脅かさない程度に書かれています。読んでいて、志の高さが分かる作品です」。

受賞者会見で、古川氏は受賞に対する想いと抱負を述べた。

「今はまだ、嬉しさを味わうというより、あわあわしている感じです。生活が日常に返ってから、嬉しさをしみじみ実感すると思います。

具体的に今後、書きたいものは決まっていませんが、今の舞台である島からは出てみたいです。繰り返し同じ場所を書いていると、自分の触れてこなかった、触れたくなかったものを無視してしまうことになる。不慣れなものや、未知の他者が登場するものを書きたいと考えています」。

続けて川越氏は、「信じられない気持ち」と驚きながら、受賞への感謝を語った。

「二作目でこれほど評価してもらえたことは、とても嬉しく感じています。支えていただいた多くの方に、お礼を伝えたいです。また、実在の人物に題材を得て書いた作品なので、舞台となった時代を生きた全ての方にも感謝しています。

今後も、いろんな文化圏や国家、人々の集団のあわいで起きる触れ合い、葛藤、融和をテーマに小説を書いていきたいと思います。自分の力を信じて、期待に応えていける作家活動を目指します」。
この記事の中でご紹介した本
熱源/文藝春秋
熱源
著 者:川越 宗一
出版社:文藝春秋
「熱源」は以下からご購入できます
「熱源」出版社のホームページはこちら
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