【横尾 忠則】ぼくの全作品に通底する黙示録的世界|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
マイページで記事のブックマーク!
ログイン
マイページ登録

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは マイページ

日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2020年2月3日 / 新聞掲載日:2020年1月31日(第3325号)

ぼくの全作品に通底する黙示録的世界

このエントリーをはてなブックマークに追加
アトリエにてマーク・ベンダさんと
(撮影・徳永明美)
2020.1.20
 今日の日付けは2020120と暗号みたいな数字が並ぶ。

NYからアルベルツ・ベンダ画廊のオーナーのマーク・ベンダさん来訪。来年の個展の打合せ。ノン・アイデンティティを主張する展覧会を計画。NYのアートシーンはテクノロジーに対抗した内面的な傾向とか。私、昔からこれしかやってまへん。言語的思考より「見る」ことの視覚重視の一般化。これも昔から変りまへん。一方、美術館に行く人口が減り、インスタグラムが美術の情報源に取って代ろうとしているとか。この傾向はいただけまへん。

夜、マッサージ。週一度のメンテナンス。
2020.1.21
 奈良原一高さん死去。60年代後半だっけ、NYの奈良原さんを訪ねる。四次元とUFOの話題に、アメリカの社会的ムーブメントに突き離された感あり。だけど、その後、UFOの遭遇体験が重なって内なるアメリカ異次元文化に同調する。

おでん体調悪し。放尿癖に辟易。その後、8時間ばかり家出。もしや死の予兆の旅へ? 帰ってきてヤレヤレ一安堵。

神戸から平林さん、会場構成の有元さん同行。

『月刊Hanada』の花田紀凱さん来訪。エッセイの依頼。

深夜、身動きしないおでんに導引術施術。
2020.1.22
 昨夜の導引術が効いたのか急に快気。

浜松の和菓子会社「春華堂」に提案していた和菓子のサンプル完成。内容はまだ発表できないが健康食品的和菓子なり。

夕方、タマの新作3点目描く。
2020.1.23
 〈大島渚サント夫人ノ小山明子サンガ西脇ノ実家ヘ。話題ガ尽キタノデ喫茶店ヘ行コウト電車ニ乗ル。超満員ノ中、場所取リ名人ノ妻ハ乗客ヲ掻キ分ケテ4人分ノ座席ヲ確保スル〉という夢。

〈巨人ガ優勝シテ米国ニ慰安旅行スルコトニナッテ何故カボクモ同行。高イビルノ外壁ヲヨジ登ッテ屋上ニ上ッタ所ガ米国ノ税関。命ガケデ、ビルノ壁ヲヨジ登ル。ソコヘ、大島サンガ現ワレテ、「僕ハ原ガ好キデス」トオッシャル。「ボクハ元木デス」ト言ウ〉2つの夢に大島さんが横断して現われる夢を見る。

昭和30年代についてのムックの取材。この時代はぼくにとっては何もない空白の時代だが、「それが実に面白かった」と編集者言う。
2020.1.24
 『anan』と『Olive』のマガジンハウスの取材。昔、関わった両誌の想い出など話す。若い編集者達はこの時代を知らない。

午後、アー、アー、無為の時間が過ぎていく。時間がどんどん年を取っていく。そーだ、『週刊朝日』の瀬戸内さんとの往復書簡の〆切りを思い出した。瀬戸内さんが「雨切り」、ぼくが「霧切り」の話でも書こう。書いていて自分でおかしくって、つい笑っちゃった。詳細は本誌で。
2020.1.25
 寒い。持病の喘息の危機感は「私の黙示録」。ぼくの作品の全作に通底するのは、黙示録的世界である。そんなぼくの本意には学芸員は興味ないらしく、そこは飛ばされる。

午後、書評のための読書。現代小説はほとんど読まないけれど、ミステリー小説を読み始める。結末から書いた方が面白くなりそう。別に本の宣伝などする必要ないんだから。
2020.1.26
 〈昔ノ東京駅デ、「以前オ世話ニナッタ鯨屋デス」ト挨拶サレ、一度、店ニ来テ下サイト誘ワレル。行ッタモノノ、居心地悪シ〉という夢。

午後、この日記を書く。

書き終ったあと、未完の150号に彩色する。それを加えたり消したりする作業はまるで、碁を打って、石を取ったり取られたりに似ている感じだ。(よこお・ただのり=美術家)
このエントリーをはてなブックマークに追加
横尾 忠則 氏の関連記事
日常の向こう側ぼくの内側のその他の記事
日常の向こう側ぼくの内側をもっと見る >
芸術・娯楽 > 美術 > 現代美術関連記事
現代美術の関連記事をもっと見る >